13
『うわっ凄い雨降ってる。これじゃあ映画見に行けないなぁ』
最近流行っているらしい映画『変な知恵』を見たかったんだけど、まあ次の機会にしようか配信のネタに出来るかなって思って見に行こうと思っただけだし。その代わり、最近知った"さぶすく"で映画でも見ようかな。最近オススメを聞いたし、ちょうど良いや。
『えーっと……これをこうして』
まずは起動する所からだな、何時間掛かるだろう。
《なぁ、グゥル》
《お、どうしました先輩》
今主人は映画を見ているらしく、僕らは暇を持て余していた。特に何もやる事もなく、モニターの方を見ていると先輩から声が掛かったと言うのが今の状況だ。
《暇だな》
《ですねぇ、でも配信の時になったら。また忙しくなりますし、暇な方が良いでしょ。特に先輩は大忙しじゃないっすか。僕はそうでも無いですけど》
こう言う時、どう言う事を言えば良いか分からないので取り敢えず先輩をヨイショしておく。そうすればきっと良い感じになるだろう。
《そうだな、俺とお前じゃ年が違うからなぁ》
《あぁ、年齢って事ですか?》
《それもそうだが、俺に比べたらお前はせいぜい昨日今日だからな。なんてたって俺は二百年は一緒だからな》
《あれ?もしかして主人が探してる仲間の内の一人って先輩なんですか?》
《あぁ、そうだぞ?言ってなかったか》
これは大発見かもしれない。オタ……ファンとしては必見の情報だ。僕は透明のメモ帳を広げた。気分は記者だ。先輩が言った事一言一句を逃さぬ様にしようと続きを促した。
《じゃあ、説明しておくか。まずは……》
《あっ!すいません》
《何だよ、どうした?》
全員語る前に聞きたい事があったんだ。
《全部で何人いるんですか?》
《あー、それは……》
そう聞くと先輩はモニョモニョし始めた。どうしたんだろう。
《言わなきゃ駄目か?》
《いや、だってそこは大事ですもん。後何人とかカウント出来るじゃないですか。盛り上がりますよきっと》
《いや皆そんな気にしてないだろ。まずはだな!》
強引に先輩は話を逸らした、絶対人数忘れてる奴だ。
《アイツが仲間なのは知ってるよな?》
《アイツ?アイツって誰っすか?》
《あぁ、ヤコだよ。ほらこの間、倒れた主人を担いでいたメイドの女がいただろ》
あぁ、あの後の配信で主人は結婚したって聞いたけど。それはどうやら血の繋がりを作ると言う意味らしくて、あの人に血を取られすぎて貧血で倒れたらしい。
《えっあの人もそうなんですか?通りすがりのレバニラ職人なんじゃないんですか?》
《確かにレバニラ鬼作ってたけど……。本人に言ったら
《絶対嫌っす。でまだ仲間はいるんすよね》
まさかこれで終わりか?と不安になった僕の考えは外れており、先輩は自信ありげに頷いた。
《ああ、色々いるぞ。会えるかは知らないが、生きてそうなのは樹木仙人のキノシタさんとか研究者さんとかならまだ生きてそうだな》
《なんかヤバそうな人っすね》
《この二人に比べたらレバニラ女なんて可愛いもんだぞ》
《あ、先輩》
《あ?どうしたんだよ。そんな震えて……》
《ゴチっす、ご愁傷様です》
《あ?あ》
断末魔が聞こえる前に、僕は逃げ出したのでアレからどうなったのかは知らない。ただ分かる事は先輩は良い人だったと言う事と、ヤコ先輩が作った自家製ポップコーンは最高に美味しかったと言う事だ。
『ヤコ、ばっとん知らない?これ見終わったら配信やろうかなと思うんだけどさ。見当たらなくてさ』
「ああ、そこに倒れていましたよ」
何で倒れていたんだろうかなんて言う事は泡を吐いている先輩の二の舞にならない為にも聞くのは辞めた方が良さそうだ。
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