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『明るいニュースって、結婚か可愛い動物の癒ししか無いのはいつの時代も変わらないんだなぁ』
寝そべりながらネットでサーフィンをして、情報の濁流に飲み込まれてそう思う。もっと抱腹絶倒の超面白ギャグで、全国民が笑って幸せになれる様な事は無いのだろうか。笑う門には福来るとも言うし、そしたら良い感じにハッピーになれないか。
『うーむ、ムズッ』
暫く考えた所で答えは出ない。と言うか我一人が考えた所でどうにもならない事に気づいた。考えても答えは出ないし、出た所でどうしようもない。そんな簡単なら誰かやってる。
『後で血肉達に聞いてみよう』
困った時にはそれが一番。三人集まれば文殊の知恵って言うし。よいしょっと立ちあがろうとして、視界に黒いのが走り去っていった。
『……?』
え?今何か通ったよね?今ウチにいるのは、
べ、別にビビってる訳じゃないけど。ばっとんとグゥル呼んどこ。いや、ほらアレだよアレ。いざとなった時に守らなきゃいけないからそう!我王だから。守らなきゃいけない物があるんだよ。
【ガサガサ】
『ヴァッ!?』
びっくりした。いやしてない。まあ、じゃあばっとんさんお願いします。行っちゃってください。前と同じ様に視界を共有して見送った。
『うおっ……うわぁ。いるわぁ』
少しするとご対面する事が出来たが思った通り、正体はゴッキーだった。配信だったら映せなかった。さて、どうしようか。
『ばっとん、ガッていけない?ガッて。鷹が魚取るみたいにカッコ良く』
《……》
遠いから見えないけど、睨まれた。様な気がする。気のせいか。
《
《……》
最終的に、ビニール袋で掴んで袋ごと捨てた。ゴキスプレーを血で作れれば良かったんだけど、内容物が減る物は作れないんだ。だから食料も買わなきゃ行けない。
『お腹空いたなぁ』
人は何かを殺したその罪悪感よりも、空腹感が勝つんだなぁ。人じゃないか我は。
「私に気づいてよ」
『ヤァッ我が血肉になる者達よ〜我が名はヴァンパイア・ロード!吸血鬼の王であるっ!』
《コメント欄》
・久しぶり!
・一週間か、長かったな
・一応塩さんが生存確認として、写真撮ってSNSに載っけてたけど
・全部寝顔ばっかりだったからな。死んだかって言われてたぞ
・海外の兄貴のコメントで彼女の死に顔は世界で一番綺麗ですって言ってて笑った
・死んでない定期
・やっぱ可愛いわ
・なんか本部にいる歩くダンボールは何なの?邪魔なんだけど
佐藤さんだぞ
【¥78800】《対吸血鬼対策部隊の糖分》
【¥78800】《対吸血鬼対策部隊の糖分2》
『久々だな。まあアレから色々あって、漸く一段落して配信出来たんだ。心配させてごめんな』
《コメント欄》
・生存確認代わりのスパチャで草
・ナイスパ
・パチンコより早くお金を溶かす女
・十五万溶かすのが早すぎる
・あれ?いつもと違うな
・確かに服がいつものパジャマじゃない
・ネグリジェだ。クソ可愛い
・ワンピースと何処が違うんですか?
・可愛ければ良いだろ
・確蟹
・生きてて良かった
「やっぱそのネグリジェ可愛いってさ。頑張った甲斐があるわ」
そう言いながら塩原さんはパソコンでコメントをブロックしながら栄養ドリンクを飲んでいる。彼女が、我をここに連れて来た人でこのネグリジェの制作者だ。ギャルっぽい見た目なのに、裁縫と料理が上手い家庭的な人だ。後、ツンデレのフリをしてるらしい。
『分かるわ〜このネグリジェ。ヤバいよな。鏡で見せて貰ったけど、美少女すぎて我ながらビビったわ。我可愛すぎって。そう!塩原さんが作ってくれたんだ〜』
クルッと一回転してみる。よくモデルさんとかがやる奴だ。
《コメント欄》
・あれ?場所も違うな
・本当だ可愛すぎて気付かなかった
・確かに……いつもの場所じゃない
・色々って引っ越しも含めてかな
・可愛い……ゲホッ
・もう俺は死ぬのかもしれない
・人は可愛さの許容値を超えると死に至るのか
・死因 可愛いは草
『そうそう、我引っ越したんよ。ほら、色々あったじゃん?だからあそこから此処、対吸の本部の寮で暮らす事になってさ』
あれからの事を簡単に話すと、塩原さんこと塩さんがあそこにいるのは危ないと本部長に言った所。じゃあ一番安全な場所で過ごして貰おうって話になったらしく、此処対吸の寮に住む事になった。
《コメント欄》
・吸血鬼が対吸血鬼対策部隊の本部の寮に引っ越すってどうなの?
・最高じゃん
・そこをツッコむなら対吸の隊員が視聴してスパチャを投げてる事からだよ
・たしかに異常だわ
・そこに気づくとは天才か
・可愛いすぎて呼吸するの忘れてた
・もう吸血鬼なんてどうでも良いわ
『今日はダラダラ喋ろうかなって感じだな。いつもそんな感じか』
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