5
『ウノ!』
《グゥ……》
《……》
『はい我の勝ち確定〜。雑魚ザ〜コ。何連勝か分からないぐらい勝ってる〜いや悪いねぇ』
そう煽っていると突然尿意がやって来た。やべっ。煽った天罰か?
『じゃ、ちょっとトイレ行ってくる!終わったらまた再開だからなっ』
再び再開の約束をして、その場を後にした。やっぱ大人数でやるゲームは楽しいね!その内ゲーム機買ってやるか。
《もう我慢ならねえ。やるわ、お前もやれよ?俺本気でやるから》
ご主人様が言ってから暫くすると、先輩がそう言った。
《ちょ、マズイですってばっとん先輩駄目ですよ。主人ですよ?こう言う時は接待プレイが基本なんですから。良い感じに楽しんで貰って、嫌な気持ちにさせないことが大事なんですよ》
とは、言いながらも僕も本当は少しイラついていた。無論我慢出来る物だったし、我慢するつもりだったのだが。
《うるせぇ!なら俺らが嫌な気持ちになったら、どうすれば良いんだよ。鬱憤は溜まり放題だぞ》
その言葉に気づかされてしまった。そうだ、これから先もずっとあんな煽られて接待プレイをするなんて嫌だ。ここら辺でどっちが上かハッキリさせようじゃないか。それに、これで折れてくれたら元の優しいご主人に戻るかもしれない。
《やりますか先輩》
《おう、そうと決まればだ。良いか耳貸せ》
《はい》
耳元で先輩が囁いた言葉に僕は耳を疑った。
《このゲームには必勝法がある!》
その後、三連勝した。ウハウハだった僕らは異変に気づかず、そのまま続けた。結果僕ら以上のイカサマ("命令")を使われ、手札を全部見せてプレイすることになった僕らに神様は味方する事無くボロ負けした。ご主人様が上なのは変わらない様だ。
一言だけ言わせて貰うと、涙目からの上目遣いはズルいと思う。年の功の無駄遣いだって言わせて欲しい。
『やぁ!我が血肉になる者達よ。我が名はヴァンパイア・ロード……吸血鬼の王であるっ』
よしっ今日も挨拶がキマッた所でやって行きますか!
「……半田、シンゴ、エノキ!
サブリミナルドロップスです!はいっ今回は……」
何だなんだ、随分でかい声で配信してるな。まぁ我も他人のこと言えないな。客観的に見たら我もあれぐらい煩いかもしれんし、気をつけないと。
《コメント欄》
・また外が騒がしくて草
・ってか本人知らないの?こんな状況で配信して大丈夫?
・何が?吸血鬼が最近増えてる件なら大丈夫じゃね、なんせ王だし。
・いや、それじゃなくて。前回の配信でヴァンちゃんの家特定されて今凸者多数状態だから
・それやばくね
・あのサプライズクロックスもそうなのか
・だせえ名前だ
「って事で早速凸って行こうと思います!いやぁ、人類初の動画じゃないんですかね。貴重な映像だと思います、吸血鬼とのツーショットとか運が良ければ撮れちゃうかも!」
「ピンポーン!wwwwwすいませーん、開けてくださーい。借金取りで〜す」
……配信中なのに、どうしよ。
「何のだよ」
「おもんなwお前ら」
「おーいw居留守する気?ってか配信してんじゃん。コラボして貰うか!」
「おっ!良いじゃんこれでバズって金持ち〜」
「最高だなそれ」
はぁ……そろそろ出ないと面倒臭そうだな。
『出るか』
《コメント欄》
・やめろ
・出なくて良いって
・気にすんな
・今日何やるの?また質問コーナー?
・たまには別のが見たい
・分かる
・佐藤さんは?
・何か段ボールで暮らしてるって聞いたぞ
・金あるんじゃねえのかよ
『行こう、グゥル』
ポンっと肩を置く。
《グゥ!?》
と驚いた顔をしてる。ウソ嘘、冗談だよ。ああ行きたく無いなぁ。
扉を少し開けた。すると。
「お?」
何故か驚いていた。何で?そっちが来いって言ってたんだろ。
「誰だアンタ。暴力は反対だ!」
ドアをそっと全開にすると、人が飛んでいた。
『え』
「いやぁゴメンね。人に暴力振っちゃダメなのは知ってるけど、食べ物にたかる蠅にまで抵抗するなって言うの?腐る所を見届けろって?」
「何言ってんだよアンタ。捕まりたいのか?いや捕まえてやる。待ってろよ今すぐ警察を」
そう言った男は言い切る事無くそのまま宙へと打ち上げられた。そんな彼に迎えられたのはコピペ雑学だった。
「《b》対吸血鬼対策部隊。通称、対吸は吸血鬼に対するお巡りさん的な存在で、警察官と同等として扱われる。対吸は、ある程度の事は揉み消せる事が出来る。対吸は、ヴァンパイア・ロードの味方である《/b》」
……いや敵だよ。何雑学みたいな感じで嘘言ってるんだ。我は困惑した。
「……はぁ、終わり」
そして、一人の女性が複数人の男を吹っ飛ばしているのを眺めていると段ボールが歩いてきた。
「おつかれ!塩」
「敵?」
敵だよそれ。我は同意した。
「いや佐藤だよ、佐藤安蜜」
「へぇ、ダンボールになったんだ。昭和じゃん」
どう言うツッコミなんだろ。最近の若い子にはついていけない。等とお婆ちゃんっぽく言ってみたけど本当分からない。
「あ、えっとヴァンパイア・ロードちゃん?」
『は、はい』
ちゃん……急に話を振られて思わずどもる。何だ。
「今後の話について色々お話ししたいので、取り敢えず署まで良い?」
《コメント欄》
・おいおいまたかよ
・また強制終了でくさ
・王の声が聞けないかなしい
・本部長も悲しい
・本部長は働け
こうして、と言うか。どうしてと言うべきか。
我は、配信中に対吸のお姉さんにお持ち帰りされる事になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます