第23話 ドロップキック!

 そして僕たちは帰還出来るあの魔法陣があるストーンヘンジみたいな場所に戻って来た。

 背後を見るとかなり遠目に『奈落のアメミット』が見える、爆走サボテンのおかけでかなり距離を稼げた。


「不動さん、本当にここに?」


「うん、僕に万が一が起きた時の為に集めた三つのアイテムは探索者なら誰でもこれるこの場所に隠しておいたんだよ」


 僕は探索者として物凄い強い訳でもない、だからいつ下手を打つかも分かったもんじゃないからね。


 その時の為に信用出来る知り合いの探索者(実在するよ、妄想の中の存在とかじゃないからね!)に僕が行方不明とかになったらこれらのダンジョンギミック関係の情報や隠したアイテムの場所とかを書き込んだノートを一冊送るように手筈を整えているんだ。


「…まっその探索者には何にも言ってないけどね、この手の情報は知る人間が少ない方が良いから」


「なんか秘密組織の人間みたいな事をしてるんですね」


「凡人の浅知恵さ、さっそれよりも急いでアイテムを掘り出されないと…」


 『奈落のアメミット』を再び封印するのに必要なアイテムはこのストーンヘンジに円環状に並ぶ岩の傍に埋めてある。


 もちろんその場所を僕は『記憶保存』でバッチリ覚えているので大丈夫だ。


 僕はその隠し場所について水希に説明して急いで掘ろうと移動した。

 そして岩の傍に来たタイミングで予想外の連中と鉢合わせする。


「なっ…お前ら、どうやって俺たちよりも先に!?」


「……君たちか」


 現れたのは水希の元友達パーティーだ。

 どうやら爆走サボテンを使って逃げた結果、彼らより先にここに戻って来てしまったらしい。


 もちろん彼らも『奈落のアメミット』の姿は確認してる訳で今のこのダンジョンの状況がかなりの異常事態である事くらいは理解しているのだろう。

 だってかなりパニック状態だったからね…。


「何なんだ、一体何なんだよあの化け物みたいなワニは!?」


「ちょっ掴み掛かって来ないで…」


「普通に戻ろうとしてたら物凄い音がして岩山が崩れるし、あんなのが出て来るのよ!?」


「オイッまたアンタが余計なことをしたんじゃないのか!?」


「何とか言えよ……なんだあの見たこともないモンスターは!」


 四人のうちリーダー格の少年に揺さぶられる、すると他三人まで詰めよって来てしまい質問攻めを受ける事に…。

 この土壇場でマジで何なのこの子ら……。


「いっ…いい加減に」


「いい加減にしなさいよアンタらーー!」


 怒りの咆哮を上げたのは水希だった。

 彼女の放ったドロップキックが僕に詰め寄る四体の雑音探索者をぶっ飛ばした。


「なっ何すんだよ水希!」


「何すんだも何もないわよっそっちこそ今の状況を分かってんの!? 不動さんが何でもかんでも知ってる訳ないでしょうっ何より邪魔だからさっさとその魔法陣に乗って消えなさい!」


 水希の口から形なき凶器が放たれ彼女のお友達の心にグサグサと突き刺さるのが見えたような気がした。


 水希…お友達にそんな…いやっどれくらい仲良しなのかとか、その度合いとかあんまり知らないけどさ。


 一応は行方不明になった事を知ったら探そうとするくらいだしもっとこう…。


 まああのドロップキックも仲が良いからこそだと考えておく事にしようかな。


 水希の剣幕と暴言によって及び腰となった四人は彼女に追い立てられるように魔法陣へと…そして光となって消えた。

 まあ無事に帰還したという事でなによりだ…。


「最もあの『奈落のアメミット』を止められないと地球がヤバイみたいなんだけどね…」


「不動さん、あのおバカたちは退散させました!」


「ありがとう…それで早速だけどアイテムを掘り出さないといけないから…」


「はいっ頑張りましょう!」


 そして僕と水希は遠目に『奈落のアメミット』を眺めながら穴を掘る、スコップとか持ってくればよかった…。


 まあ埋めた時も手でしたからそこまで深くなんて掘った記憶はない、何とかなるでしょ。


 そう思いながら掘り掘りしていくと……ようやくそれらしいアイテムを掘り当てた。





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