第16話 砂漠へ
翌日、どうやら水希は行方不明となっていたパーティーメンバーの親御さんやらに連絡を取ったらしい。
すると既にそれぞれの親御さんからはお金を用意してギルドに依頼を出す形で話は進んでいるとのことだ。
僕たちは次の日曜日にギルドの建物の中で合流していた。
「……まあ依頼を受ける探索者がいるかは別問題なんだけどね」
「やはりそうなんですか?」
「探索者もピンキリだし、依頼としては行方不明となった探索者の救出が目的だからね。既に何日か過ぎてる事を考えると…」
「…………」
正直全員が無事って可能性は絶望的だ。
それに出された依頼の報酬を見ると全員で五十万円程だった。
皆でお金を出し合ったのかもだが、どうしても安いと言わざるえない。
駆け出しの下級探索者パーティーや中級探索者になったばかりの人間なら受けるかもだけど実力のある中級探索者や上級探索者のパーティーとなると一日…いや半日でそれくらいは優に稼いでしまうからな~。
「探索者も人間だから損得勘定で動く人は多い、実力が伴ってあの報酬で動く上級探索者が果たしているか僕には分からないのもあるね」
「おじさんに話を聞いた時も同じような事を言われました『昨今の探索者には気概に溢れたかつての探索者のような者達がおらん!』って言ってました……」
「まあ探索者って何処までいっても自己責任だからね。中々難しいよ」
元から命の危険がある場所だと分かって自分から向かう以上は甘えた事を言われてもまわりも困るし、あのバジリスクへの対処の悪さを鑑みるとモンスターにやられて全滅したとしても不思議はない。
しかしここで何もしないのも気分が悪い、僕は水希にその出された依頼について聞いてみる事にした。
「…それで彼らはどこのダンジョンに行って行方不明となったんだい?」
「それが…」
僕の質問に少し言い淀む水希。
しかしどうにか続く言葉を言った。
「……あそこです、皆が最後に向かったダンジョンは【エルマドン砂海】なんですよ」
「……………あそこか」
よりによって【エルマドン砂海】これは生存率がまた一気に下方修正されたように思うな。
そうか、あのダンジョンか…。
「…不動さん、あのどうかしましたか?」
「うんっ多分だけどね…」
あの厳しい環境のダンジョンに行くとなると下級探索者すら依頼を受けない可能性がある。
その事を水希に話をして一度ギルドの受付に向かった。
職員の女性に話を聞いてみるとやはり依頼を受けた探索者はいないと言われた。
水希としても探索者の事情も分かるからなのか複雑な顔をしている。
ここは先輩探索者として少し動く事にするかな。
「……水希」
「はいっなんですか?」
「取り敢えず僕らで行ってみる? 僕は人を探すスキルとか持ってないからあの広大な砂漠で水希の友達を助けられる自信はあんまりないけど…」
僕の言葉に水希は驚いたようにこちらを見た。
「…本当にいいんですか?」
本音は水希も探しに行きたかったんだろう、けど僕と友達との間に色々あったから言いだし難かったんだ。
そう思ったからこその提案である、このまま何もしないと言うのも流石にねと言う思いもあり提案した。
「探索者っていつどうなるか分からない職業だよ、なら後悔は出来るだけ残さない方が良いから」
僕の言葉を聞いた水希はしばし考える、そして静に頷いた。
「分かりました、お願いします不動さん皆の捜索に力を貸して下さい」
「分かった」
そして僕達は【エルマドン砂海】に水希の探索者仲間を探しに向かった。
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