第10話 この国の騎士団長

 次の日の新聞はものすごい数が売れた。

 なぜか?予想しただろう。

 昨夜、自国最大の山が崩壊したんだ。

 真夜中、大きな爆発音とともにジンシ山は崩れた。

 崩れたときの目撃情報も多数出ていた。大きい水龍が現れ大きな山をぶち壊したなど、信憑性の欠片もない情報が噂されており、新聞社はこの事件を大きく取り上げた。国民の多くが情報の速さを称賛していたが、ただ一人このことえをよく思っていない者がいた。


(やばいな...。想像以上に目立ってしまった...。ま、まあでも山崩落の原因はまだ噂程度だし?それに噂でさえ水龍が人間に怒って山を壊したのなんのと僕の関わりは一切バレてないもんな...。大丈夫...。大丈夫...。)


「はあ...。」


「どしたの?お兄ちゃん」


「いや山崩れたなあって。」


「いやそれに関してはもっと驚けよ!なんで呆れてんだよっ!」


「...どうしたのソフィア。なんかテンションおかしくない?」


「あっ...その新聞にあったおまけ漫画のツッコミが面白くって...。」


「なるほど?」

(この国今思ったけどめちゃくちゃ発展したな...。たった100足らずでここまで成長するのか...。人間って恐ろしや。)


 女神はツッコミをしようとしてやめた。

(お前も人間やろg...いや、人間ではないのでは?あの力はもう軽くこの世界の神の力越えてるよ...。どうしようつかさが世界壊し始めたら私達でも対処できないかもしれない...。ってかあ!!つかさサラッと別の世界の神獣呼んでたよね?あれ自然の摂理余裕で越えてるんですけど...。どんな召喚術だよ!)

 が、結局ツッコんでしまったようだ。


「お兄ちゃんっ!早く準備して!!今日入学試験だよっ!!筆記試験開始時刻

 15分!!早くいかないとっ!!」


「ああそうだな...。今何時...。え!?8時じゃん...。学校まで10分かかるんだけど...。

 テスト間に合わねえ...。仕方がない...。ソフィア空飛ぶしかない!!行くぞ!」


「えっ!?空飛ぶの?あと開始時刻9時15分だよ...。って行っちゃった...。」


「さてととりあえず筆記用具、受験証あるから大丈夫だな...。あれ?ソフィアは?まあ大丈夫かうん。あんまり妹を心配しすぎても僕がシスコンだと思われるだけだしね。...さてと学校が見えてきたぞ!!間に合ったな...。とりあえず近くの広場に着陸っと」


「あら青年じゃないか昨夜ぶりだな。」


「あれ?騎士のお姉さん?どうしてここに?」


「ああ、私も試験を受けに来たのだ。」


「そうなの?でもお姉さんは騎士団にはいってるんでしょ?なんで学園に?」


「それはなあ、君に興味が...あっいやその私は剣術以外だめだめでな...。この学校にで魔法などを学べればと思って...」


「あっていうか試験開始時間が近いっはやくいかないと...」


「ん?試験まであと1時間ほどあるぞ?受付ぐらいは済ませても良いと思うが...。」


「あれ?8時15分じゃなかったのか...」少々来るのが早すぎたかもな...。

 こんな感じで騎士さんとお話していると、そこへ大柄な騎士が駆け寄ってきた。


「おい!そこの平民!この方はアルトスティナ王国騎士団長エレーネ・トリニガン様だぞっ!!平民風情が話しかけてよいお方ではない!!」

 え?...ん?騎士団長だったのか...。道理で強いわけだ。というか名前も今始めて聞いたぞ?まだ僕たち自己紹介すらしてなかったんだが...。


「控えよ。彼は私の友人なのだ。」


「し、しかし...あやつは平民ですが...。」


「貴様、私の言葉が聞こえなかったか!!」


「ひっ!も、申し訳ございません...。」


「よい。それでは我々は二人で話すことがあるため控えよ。


「はっ!!」


 こう見ると騎士団長の威厳を感じる...。かっこいいな!!


「では改めて自己紹介だ。アルトスティナ王国騎士団長を努めている。エレーネ・トリニガンだ。気軽にエレーネと読んでくれ。」


「お姉さん...いやエレーネさん騎士団長だったんだね...。全然気づかなかったよ。僕は藤沢つかさ。つかさって呼んでくれ。」


「ほう。青年は東方の出身なのか?」


「東方?」


 何のことだろうか...。


「うむ名字と名前が逆であろう。」


「ああ、えーとはいそんなところです。」


 よくわからないけど東の方だと名字と名前が僕のような表記なのか...。

 勇者だったときでも行ったことないからいつか行ってみたいなあ...。


「それにしてもエレーネさんはすごい強いですよね!!」


「...つかさよ。お前だけにはいわれたくないぞ?お前は強すぎる。」


「いえいえ...。僕なんてそんなに強くありませんよ。」


「謙遜するにも程があるだろ...。お前が強くなかったら他の人間はなんだ?もうそれはただのゴミみたいなものってことか?」


「いいえ。違いますよ。ほんとにエレーネさんは強いんです。」


 そうだ。僕のこの力は99の世界を回って手に入れたものだ。しかしエレーネさんの剣術はこの一つの世界のみでたった22年間の人生のなかで身につけたもの。も彼女の努力が土壇場で開花したものなのだろう。

 その力が99の世界を回ったいわゆるチーターのような存在の命を掠ったのだ。ここまで死の気配を感じたのは始めてかもしれない。それこそ一番はじめの世界僕の生まれ育った世界だ。あの世界には帰りたくないが、いつか帰ることになるだろう。だって今の世界は2回目だ。その世界に戻る可能性だって十分にある。


「そ、そうか。まあありがとうな。」

 そっけないが、少し照れている彼女の反応をみて嬉しくなった僕であった。

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