NTR系字書きと溺愛系字書きがお見合いしたら

板久咲絢芽

序 過去はさておき

――えええええ、まさか、そんな過ぎる……まさか、六条ろくじょうさんが、NTR書くなんて……一体全体、何があったっていうのー!?

(20XX-MM-DD HH:mm:ss アプリより投稿)


ノートパソコンで調べ物をしていた時に、そんなのSNSの投稿を見つけて、只木ししきりんは、ふふっと笑いがこぼれた。


「どうしたの?」


笑いを聞きつけて、隣で同じく、スマホで調べ物と執筆をしていた、【あがり 六条ろくじょう】のペンネームを持つ彼女――只木ししきあおいが、セミロングの髪を肩のあたりで揺らしながら、スマホの画面から顔を上げる。

ブルーライト対策加工のされた眼鏡を軽く押し上げる彼女に、ノートパソコンの画面に映された投稿を指し示すと、彼女もまた、目元を細めてふふっと笑いをこぼした。


「懐かしいわあ。あの時、結構いろいろ言われたもの」

「わかる。俺もそうだった。なんなら、脳をNTR以上の何で破壊されたんだ、こいつ! ダイナマイトか! って言われてたからな」


そうして、りんあおいは、二人で顔を見合わせて、懐かしさと幸せを感じながら、からからと互いに笑い合う。

二人の左手の薬指には、そのささやかな幸せと同じようにシンプルな、でも、たしかな存在感を放つ、シルバーのリングが光っていた。

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