第4話
俺たちは式を挙げ、夫婦となった。
ある日、妻は言った。
「わたしもね、幸せのポケット、持っているの」
「そうなのか。じゃあ、叩いてみていいかな」
「いいけど……優しくね」
俺は妻の着ているエプロンのポケットを軽く叩いてみた。
しかし、手応えはなかった。
「ポケットの中、空っぽじゃないか」
「ふふふふ……」
妻は幸せそうに微笑んでいる。
俺には意味が分からなかった。
「幸せは二倍になったのよ」
「どういうこと?」
「……あのね……私、赤ちゃんができたの……」
そうか、そういうことだったのか。
「確かに、幸せは二倍になったな」
俺と妻は見つめ合い、そして、笑い合った。
「ひょっとしたら、双子だったりして」
妻のエプロンのポケットを優しく撫でてみる。
ポケットの中から幸せが伝わってきた。
< 了 >
幸せのポケット 神楽堂 @haiho_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます