第3話

クリスマスの夜。

街はイルミネーションの光に彩られている。


俺は彼女に言った。


「幸せになってみないか?」


「何? 急に」


「俺には幸せのポケットがあるから」


「うふふふ……そうだったね」


「ポケットを叩くと、幸せが二倍になるんだ」


俺はコートのポケットを叩いてみせた。


「試してみるか」


「うん」


彼女も、俺のコートのポケットを叩いた。

途端に彼女は表情を変える。


「そういうこと」


俺はポケットの中に入れていたものを取り出した。


「受け取ってほしい」


小箱を開く。

その中身は、イルミネーションの光を受けてキラキラと輝いた。


彼女は顔を真っ赤にしていたが、やがて微笑み、こう言った。


「はい、喜んで」


俺は指輪を彼女の指に通した。


「ポケットを叩いたからね。この指輪の魔法は二倍になっているよ」


「ふふふふ……ありがとう」


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