4ババ京都旅行 りか

「りかさん、明日から旅行なんですよね。

いいな〜。

楽しんで行ってきてくださいね。」

「うん。ありがとね。お土産楽しみにしてて。」


沙耶ちゃんの、いつものニコニコ笑顔が少し寂しそうになる。


「でも、寂しいな。今月いっぱいでやめちゃうなんて。」

「ああ・・・」

「考え直してもらえないんですか?りかさん目当てのお客さん、たくさんいるし・・・」

「ありがとね。沙耶ちゃん。でも、そんな事ばっか言ってないで、沙耶ちゃん目当てのお客さんもいっぱいいるんだからね。」


沙耶ちゃんは目に涙を溜める。


「りかさん・・・ありがとうございます。あたし頑張ります!!」

「うん。その調子!」


店を出ると奏斗がいた。


「お疲れ様。」


あたしは彼の前を過ぎようとした。


「辞めるんだって?」


「・・・うん・・・」


奏斗が、ゆっくり近づいてくる。


「イタリアに行くって聞いたよ。すごいな、りかさんは。」

「・・・・。」

「頑張って。」

「・・・・ありがとう。」


奏斗が、右手を差し出した。

あたしも・・・右手を出す。


奏斗の大きくて、温かい手、

大好きだった、ずっと一緒にいたかった。


「じゃあ、さよなら。」

「うん。さよなら。元気でね。」


奏斗の優しい笑顔。

いつも、どんな時も優しかった奏斗。

ありがとう。

あなたがいてくれたから、あたし、ここまで来れたんだよ。

幸せでいてね。

あたしも幸せになるから。


あたしは、笑顔で歩き出す。


「おはよう。」

「おはよう。」


4人合流して、京都旅行に出発。

この旅行で、みんにも知らせよう。

1ケ月後に、イタリアに出発すること。


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