トラとの最後のお別れ
2024年3月23日(土)
この日は、トラのペット葬の日です。
ペット火葬車が自宅に来て、自宅の敷地内で火葬していただくようお願いしました。
前日の陽気とは打って変わって、朝から曇り空。
晴れたら、最後に、庭で良く過ごしていた菜の花畑の中で日向ぼっこさせてやりたいと思っていましたが、叶わず。
10時半にペット葬をしてくださるジョイフル本田様が来ていらっしゃるので、それまでに晴れ間が少しでも出ればいいな、と思っていました。
ところが。
9時を回ったあたりで、なんと雪がちらついてきました。
3月に雪が降るなんて……。
5分ほどで雪があられに変わり、さらに5分ほどで雨になりました。
結局、そのまま雨は続き、時間が来てしまいました。
ペット火葬車が到着し、簡単な説明と手続きをし、雨の中火葬の準備を始めていただきました。ご担当の方から、
「何時まででも待ちますから、しっかりお別れをなさってください」
と優しいお言葉をかけていただきました。
箱の中でうつ伏せで眠るように息を引き取っていたので、顔はしっかり見てやれなかったけど、頭を撫でて、身体についたごみを取ってやって、お別れの言葉をかけました。
火葬車の中に移動し、花を添えて、好きだったご飯を置いて、もう一度撫でて。
手を合わせて。
10時45分に、火葬が始まりました。
私は、逃げるように部屋に戻りました。
涙が止まらなかった。
まだ手に残っているトラの感触が、生きているうちにもっと可愛がってやれなかった後悔が、看取ってやれなかった悔恨が、ごっちゃになっていました。
電気もつけず、暖房もつけず、火葬車の排気口から出ている白い煙と、熱でゆらゆら揺れる空気をぼんやり見ていました。
相変わらず雨と風が続いていて、煙は上にのぼらずに、車の上を流れるように揺らいでいました。
次第に煙が弱くなっていき、ちょうど1時間が経過したときに完全に煙が止まりました。排気口から出ているのは、冷たい空気を揺らす熱だけになりました。
火葬が終わったあとの、熱を冷ます時間。
もう、触ってやれない。撫でてやれない。
死んでしまった後の抜け殻でもいいから撫でてやりたくて、葬儀までの間に何度も撫でた。それもできなくなった。
分かっていたことだけど、身体から力が抜けてしまう感覚に陥りました。
12時。まだ熱で揺れている中、お骨拾いの準備を始めてくださいました。
私はようやく部屋を出て、玄関の扉を開けました。
雨が止んでいました。
今朝は傘がなければびしょ濡れになってしまうほどの雨だったのに。
車に向かうと、もう準備が終わっていて、トラの骨がそこにありました。
お婆ちゃん猫だったけど、病死ではなく老衰だったからか、頭の骨も脚の骨もしっかり残っていました。
最後の灰まで丁寧にお骨を壺に入れていただいて、骨覆いで丁寧に包んでいただいて、受け取りました。
先に逝った、中の良かった犬の骨の隣に置いて、花を飾りました。
写真があまりなくて、横を向いたものしか飾れなかった。
次に会ったら、いっぱい謝らないといけないですね。
私の寿命と合わせて半分こして、一緒に虹の橋を渡りたかった。
そう思ってしまいます。
先に逝かせてごめんね。
何年後になるか分からないけど、待っていてくれたら、今度こそちゃんと遊ぼうね。
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