ごめんね、トラ

ほんの15分前に、生きていたのに。

クゥ、クゥって鳴いてくれてたのに。


私は、すぐには様子を見に行けませんでした。

父親がお酒を飲んで酔っ払って、勘違いしたんだ。

トラは「うるさいなあ」って返事をしなかったんだ。

そうであってほしかった。


結局、私は1時間くらいぼうっとして、ようやく庭に向かいました。

1時間半前には首をもたげてくれたトラが、冷たくなって、身体も固くなってきていました。

これが死後硬直なのか、寒さで凍ってしまっているのか、私には分かりません。

ただ、死んでしまったんだ、という現実だけははっきりとわかりました。



どうして、あの時部屋に戻ってしまったんだろう。

どうして、一緒にいてあげなかったんだろう。

どうして、看取ってあげなかったんだろう。

どうして、どうして。


死んだ後の葬儀のことなんか調べている間に、トラは逝ってしまったんです。

こんな最低な奴がいますか。

こんな奴が飼い主を気取れますか。

なんで、こんな奴が布団であったかく寝ていて、トラは寒い外で死んでいるんだ。


ごめんね、トラ。

懐いてくれたのに、好きだよって態度で示してくれたのに、

こんな家族でごめんね。


トラと同じ冷たい夜風にあたりながら、私はコンビニに向かって、お金を下ろしました。トラの葬儀にかかるお金です。

この期に及んで、私はどこまでも薄情です。



これを書いているのは、トラが死んだ翌日の3月22日(金)です。

1日ちょっと前まで、トラは生きていました。頑張っていました。


今日の昼間に様子を見に行って、やっぱり冷たいままのトラに、

「よく頑張ったね」と声をかけました。

身体を撫でると、死んでいるとは思えないくらい、綺麗な毛並みのままです。


ペットの葬儀屋に連絡して、明日、3月23日(土)の朝に、トラを火葬してもらうことになりました。

トラとの記憶が燃えてしまう前に、トラにしたひどい仕打ちを忘れぬように、

どれだけ謝っても足りないけれど、少しでもトラが記憶に残り続けるように。

ここに書き残します。


これを読んでくださった方は、薄情な私を罵ってもらって構いません。

だって、地域猫といえど飼い主同然、家族同然の付き合いをしていた猫を、最後の最後に裏切ってしまったんですから。罵られて当然です。


その代わり、

私に言う資格のない言葉を、心の中でトラに言ってやっていただけませんか。

「お疲れさま」と。



もし、ペットを飼っていらっしゃる方がいたら、私のようにならないでください。

今が元気だからといって、1週間後も元気でいる保証はありません。

どうか、お時間の許す間、一緒にいてあげてください。

どうか、私のように後悔しないでください。

涙を流す資格もないのに、涙が止まらないのです。



すみません、何を書きたいのか分からなくなってきましたので、この辺で止めます。

こんな最低な奴の駄文に付き合ってくださって、ありがとうございました。

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