第9話 プレイヤーネーム【ノナミ】
「おっ?これは…」
レベルポイントがはいった通知だ。俺とサキナにポイントが2ポイントずつ入った。よってレベル2まで残り8ポイントとなった。
「1人倒したら1ポイントか…これレベル上げるのだいぶキツくないか…」
「そうだね。でもやりがいはあるから私はこのシステム好きだな」
完全にゲーマー目線の発言だ。
「そんなことより、ナツヒ君のあの攻撃がなかったら負けてたかもしれない。ありがとう」
サキナは久しぶりに笑顔を見せた。俺は内心ほっとしていた。
「いやいやお礼を言うのはこっちだよ。俺は指示に従っただけだし…」
「話に戻るけど俺が自分の手で倒していないのにレベルのポイントが入るのは何故だ?」
「おそらくパーティを組んでるからだと思う。私とナツヒ君に2ポイントずつ入ってるから」
「なるほど。パーティは5人までってことは例えばアイツらが4人で最初からパーティを組んでいたとしたらあとの2人は同じレベルになっているはず。そして離れていても楽してレベルをがっぽり稼げるってことか」
「でもそれって何が楽しいのかな。私にはゲームと言うよりただの作業でしかないと思うけど」
「同感だ。それはゲームじゃない。コツコツやってやりがいを感じるのが楽しいからな」
「あ、あのー。さっきの戦い凄かったですね…」
不意に後ろから声が聞こえた。立っていたのは紫色の髪の素朴な女の子だった。背丈はサキナと同じくらいだった。
「いつの間に…」
後ろに人がいたことに気づかなかった。戦いに集中していたからだろうか。
「あのよろしければパーティに入れて頂けないでしょうか…あなた達レベル1でとてもお強いので…」
プレイヤーネームは【ノナミ】レベル13だった。レベル13…何故か引っかかる。
「そういえばさっきの敵もレベル13だったよな。もしかしてだけどお前アイツらの仲間か?」
俺は斧を構えた。
「待って。もしアイツらの仲間ならいくらでも後ろから狙えたはず。攻撃してこないのは不自然。それにレベルが同じだからってアイツらの仲間とは断言できない」
サキナの言うことには毎回筋が通っている。俺は納得した。
「確かに。俺がこいつと逆の立場だとしたら容赦なく攻撃していただろうな。で、どうするサキナ。俺はパーティにいれてあげてもいいと思うけどな」
サキナは少し考え込んでいた。
「分かったパーティにいれてあげる。でもその前に聞きたいことがあるのだけど何故あなたはレベルが13もあるの?」
「それは…プレイヤーを倒してたから…いつの間にか上がってて…」
それはそうだ。このゲームはプレイヤーを倒すことで経験値となるポイント得てレベルが上がる仕組みだ。ルールに則っている。
「ならなぜ私たちを倒さなかった?あなたならいつでも倒せたはず」
「倒さなかったのはさっき言った通りパーティを組みたかったから。さっきの動きを見てレベル1なのにここまで戦えるのはあなたたちしか居ない。私はそんな人を求めてた…。今まで倒してきたプレイヤーよりも強い。だからお願いします…」
サキナは5秒ほど考えたあとこう言った。
「わかった。パーティ申請を送るわ」
「ありがとうございます!」
ノナミは嬉しそうな表情をしていた。ノナミは俺たちのパーティに加わった。そして俺たちは当初の目的であったレクティアに向けて足を運んだ。
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