第2話 謎のゲーム
学校から家に帰り何となく自分の部屋のテレビを付けてニュースを見てみると…
「昨日発売されたVRMMORPGゲーム『オブジェクト・アビリティ』が現在話題を呼んでいます。ゲームの内容も明かされておらず、仮想世界から戻ってきた人達はゲームの中での記憶を失うとの情報です。人々は自分の目で確かめたいという思いから多くの人がお店に殺到している模様です。」
「『オブジェクト・アビリティ』か。」
"ゲーム内の記憶を失う"
"情報が何も無い未知数なゲーム"
(…どういうことだ?)
今までやってきたゲームは調べるだけでどんなゲームなのかわかるし攻略情報だってどこにでも存在する。俺は『オブジェクト・アビリティ』についてパソコンで調べてみた。しかしどこにも情報がない。
「ほんとに何も情報が無いんだな…」
恐怖よりもワクワク感のほうが上回っていた。何もかも未知数なこのゲームを攻略したい。そう思った。
次の日の学校帰り家の近くの店で『オブジェクト・アビリティ』を買おうとしていた。
(売ってなかったら諦めるか…人気なゲームだしな…)
すると後ろから声が聞こえた。
「なっつー!」
幼なじみの美都咲奈だ。
「はぁ はぁ 」
息が大きく荒れていた。
「後ろから急にくるからびっくりしたよ」
「ちょっと話したいことがあるからさ、家来てもらっていい?」
「まぁ…全然いいけど…」
全く状況が読み込めなかった俺は咲奈の家までついて行った。
「お邪魔します」
家には誰もいなかった。咲奈は家族3人で暮らしている一人っ子だ。両親は共働きで帰ってくるのが遅いらしい。俺はリビングにあるイスに座った。
「お茶でも飲む?」
「うん。ありがとう」
咲奈はお茶を入れ持ってきてくれた。ごく普通の上手い麦茶だ。向かい合わせとなるように咲奈は俺の目の前に座った。
「で、話って…?」
「今話題のオブジェクトアビリティって言うゲーム知ってる?」
「うん。昨日ニュースで見たよ。それがどうしたんだ?」
「実はね、私の父親は株式会社レクイエルに就いていて、そのオブジェクトアビリティを作ったのはレクイエルなのよ」
「あのバーサスで有名なレクイエルがオブジェクトアビリティを作っていたのか」
俺は驚いた表情を浮かべた。
「私は昔から父親の影響で試作品や完成品を貰ってて、ゲームに夢中になっていたの。オブジェクトアビリティもまだサービス開始前だから1人用サーバーの完成品があってそれをずっとやり込んでた。発売前だから意味ないのにね。今までで1番ハマったゲームかもしれない。そのくらい面白いし完成度が高かった。けど…」
咲奈は真剣な表情で話した。
「けど…?」
「発売されてから直ぐに何者かの手によってゲームシステムを改ざんされたの」
「それがあのニュースで言ってたゲーム内の記憶が消えるとかってやつか」
「それはまだちゃんと解明出来てないらしいから分からないけど、父親から聞いた話によると元のオブジェクトアビリティとはかけ離れた難易度設定になってるらしくて元々ボスはしっかり順序を踏めばちゃんと倒せるように設定されていたんだけど攻撃力が異常に高かったりHP残量が増えたりして、ゲームバランスが壊れてるらしいの」
咲奈は少し険しい顔をしながら言った。
「それはゲームとして成り立たないな…」
俺は顎に手を当てて言った。
「だから今日調査込みでオブジェクトアビリティやらない?まだ知らない情報が多いし、私父親にお世話になってたから何か協力出来ないことはないかなと思って…でも1人じゃ心細いからゲームに詳しい人いないかなと思って…それで…」
目をキョロキョロしながら咲奈は言った。
「もちろんやるよ。ニュースみてちょうどやりたいと思ってたところだしな」
「決まりね。じゃあちょっと待ってて、持ってくるから」
咲奈は2階に上がった。恐らくソフトを取りに行ったのだろう。
しばらく経って…。
「はいこれ!」
「これタダで貰っちゃっていいの?割と高いんじゃ…」
「元々渡す予定だったから全然良いよ。貰ってって」
「なんかごめん。ありがとう。じゃあ今日の夜8時集合で良い?」
「オッケー」
「じゃあまた後で!」
外はいつの間にか薄暗くなっていた。
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