第4話 私は悪役王女〜計画〜①
この世界での悪役王女の本当の役割に絶望し、汚名返上して平和な未来を手に入れることを諦めたは良いものの…さて、逃亡…亡命?先はどこにしようか。
そもそも私が知っているこの世界のことは、家庭教師に教えられた歴史や経済の授業での知識と、ゲームの設定だけだ。
しかも今回の出来事…『女神の加護の証』はすでに
(後継者はすでに決まってるとか…後だし情報がすぎるでしょ)
しかも、
国のためとはいえ、王女の人権も何もあったものではない。
姉王女もそうだけど、妹王女だってガチガチに固められた人生でもある
(何しろ、王配となる夫も、ほとんど最初から決められていたようなものだ)
それが、ゲームでの攻略対象たち。
どのキャラも家柄はもちろん、その父親の役職も確かなものだった。
キービジュアルのセンターだった
どれもいわゆる『お墨付き』と言える優れた血統の相手だった。
すでにディウスは幼い王女たちの友人として、幼馴染と言う近い位置にいる。
私個人に会いに来ることはないけれど、妹王女の方には頻繁に会っているのは周知の事実だ。
と言うことは、学園入学までの残り数年で他のキャラとも『出会い』はセッティングされ、幼馴染か昔馴染みか…少なくとも昨日今日あったばかりの人間よりも親しい間柄になるよう準備がされるはずだ。
学園に入学し、幅広く同年代の異性に出会ったとしても、幼い頃から知り合いの彼らは1歩も2歩もリードして選定が始まる。
(道理でモブが敬語だったわけだよ)
いくら机並べて一緒に学ぶ同級生といえど、王女さまにタメ語とかやっぱ不敬なのかな?くらいにしか思わなかったプレイヤー時代。
そんな中で攻略対象だけは、キャラクター的に敬語なやつ以外はかなり気やすい態度と口調でヒロインと接していた。
モブとの差別化だと思うのが普通…と言うか、何気なく流して気にもしなかったけれど。確かにある意味では差別、と言うより明確に区別されていたのだろう。
子供の時点での夫候補と、それに挙げられもしなかったやつら、として。
それにもめげず親しくなろうと思っても、地位も名誉も爵位も格上の家門が相手。
いずれその地位も役職も確約されている男を恋敵にするのは、生半可な少年には無理な話だ。
(そんな中、ぽっと出の暗殺者に掻っ攫われる隠しルートは本当に『隠し』だったんだな)
ほんわかご都合主義で甘ったるいテンプレ展開の各ルートのシナリオに対し、隠しルートの暗殺者攻略はかなり異質な雰囲気だった。
プロポーズと後継者の指名が必ずセットだったラストシーンで、誰からもプロポーズはされてず、でも『愛する人はいるが言うことはできない』で押し切り、それなのに『女神の証』は発現し後継者になる。
以降、独身の女王として即位し、姿を見せない影の護衛が終生彼女を守り続けた、で締めくくられていた。
このルートだと、身近で支える王配もなく、その後ろ盾になる強力な貴族家門もないポンコツ王女はどうやって国を支え、政治を行ったんだろうか?
プレイヤーとしては、他のルートと毛色の違うエンディングに『これはこれでアリ!』とか思っていたけれど…内情と言うか、裏側しっちゃってると1番阻止したいエンディングに他ならない。
(だって、絶対に使い潰されてるでしょう!ルシエラ!)
他ルートと同じく、隠しルートでも
しかも、
子以上にない明確な殺意をむけ、罪らしい罪を犯しているルートはここだけだ。
言いがかりや難癖に近い他ルートでの罪状と違い、殺人依頼なんて明らかな犯罪。
贖罪と称した飼い殺しの未来が、暗に確定していただろうことが伺える攻略ルートに鳥肌が立つ。
(しかも、表向きは罪人なので幽閉監禁しつつ内務を押し付けられ自由もない人生になりそう!)
それでも…妹の暗殺を依頼するくらいに抵抗しようと考えた、あるいはすでに心が壊れ始めていた
と言うか、大笑する未来が見える。何しろ今は、自分のことでもあるから。
計画を知った上で考えると、用意周到していたものを小娘の恋心なんてもんで水の泡になったのを喜びそうだし、それが自分が差し向けた平民以下の暗殺者っていうのでさらに嬉しくなっていそうだ。
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