童話
としているとザラメ嬢。
「それで? 結局のところあなた方は何者ですの? 冒険者ギルドから出てきて、併設されているカフェでお茶をしているのに冒険者でなかった場合はギルド職員か依頼者、あとは掃除のおばちゃんくらいですが――あなた方はどう見ても掃除のおばちゃんではなく掃除のギャルにしか見えませんが?」
バカを言え、我々がギャルだったらコーヒーなんか飲まずにもっとこうギャルっぽくうな重とか食べているに決まっているだろう? とか考えているとドク口が私にそっと呟く。
(ノレさん。別に嘘吐く必要ってなくないですか?)
まあ確かにな……。というか別に嘘を吐くつもりはなかったのだが、さっきは心の中にいる天使の私と悪魔の私とギャルの私が協議をし、ポーションを座薬にするか目薬にするか悩んだ結果、ポーションが座薬でエリクサーが目薬となったのだ。なので私は咄嗟に
私は俯き加減ではにかむと。
「失礼しました。本当の事を言うと私達は冒険者で『毒ガエル』という――今日結成したばかりのパーティーです」
良し。出任せの割にはセンスのあるパーティー名だな。と私が感心していると横からドク口。
『いやちょっと待って下さい。毒ガエルって、毒は私でガエルがカエルさんならノレさんの担当ないじゃないですか?』
当たり前だろう? 私は今日だけの臨時加入だぞ?
と思いつつも血が騒いでしまったので。
「いや、私の担当は』『ですよ」
『わかりにくっ! なんでわざわざ』『にするんですか。素直に『』でいいじゃないですか!』
わかり難いと言う割には一発で理解しているじゃないか。寧ろ字面で見たらお前の台詞の方が読みにくさ満点ザラメだぞ?
――と。
「アハーッハッハッハッ! 今日結成したばかりのパーティーとは好都合ですわ。なら、今からわたくしが加入しても特段問題はないという事ですわね?」
この高笑いはモチロン本物の満点ザラメ嬢である。なので私は続ける。
「そうですね問題ないです。しかし強いて問題を挙げるなら、ホンットに強いて問題を挙げるならあなたが加入した場合、パーティー名をエ口豚に変えなければいけないという事くらいですかね?」
「おほーっほっほっほっ! でしたらやはり問題ありませんわ! 寧ろ悪役令嬢であるわたくしにピッタリの二つ名ですもの!」
いや、お前の二つ名じゃない。……と高笑いするザラメ嬢に私が冷凍マグロより冷たい視線を送っていると、ドク口が私に冷凍マグロの切り身より冷たい視線で。
『カエルさんのエに私の口。そしてザラメさんが豚担当だったからエ口豚……。なんでノレさんて毒ガエルとかエ口豚とか……そんなトコばっかアドリブが利くんですか?』
そんなのは知識と経験に決まっているだろう?
っと私が考えていると。
「アハーッハッハッハッ! では、今からわたくしがこのパーティーに加入して差し上げても宜しくてよ? そうね……まずはあなたっ!」
と言ってザラメ嬢が私を指差す。
「あなた、わたくしの靴をお舐めなさい?」
そう言ってザラメ嬢はヒールのたっかい靴をカツーンと鳴らしながら私に足を差し向ける。――ので。
「そんなに美味しいんですか?」
と素直に訊いてみたら、ザラメ嬢は肩を怒らせ。
「美味しいから舐めてみろって言ってるんっじゃなぁーいんですわっ! 忠誠を誓う意味で舐めろって言ってるんですの!」
「えっ? あ、そうなんですか。因みに私の靴は馬糞ウニみたいに美味しいですけど舐めてみます?」
と言ってヒールの高くない靴をビターンと鳴らしながらザラメ嬢に向けてみるも。
「なぁんでわたくしが舐める側になるんですのっ!? というかウニで宜しくないっ? なんでわざわざバフンウニという言い方をしますのっ!?」
「いやでも
「人糞ウニなんてそもそもありませんわよっ!!」
……と。
『いや~さすがの悪役令嬢でも、ノレさんの前では形無しって事ですかね?』
「はっはっはっ。まあ、そうは言ってもノレさんは勇者な訳ですから……この程度の出来事は問題にもならないという事なのでしょう」
私がザラメ嬢と戯れる中、ドク口とカエルが勝手な事を言っているが――良いんだな? お前達はこいつがパーティーに加わっても……?
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