本題
なので私は間抜けなドク口を遮り代わりに竹中に質問をする。
「あの、今の話でちょっと気になったんですけど――特A級の人はオリジナルの魔法を開発出来るって話でしたけど、A級の人も開発者なんですよね? A級の人はオリジナルの魔法は開発出来ないんですか?」
「あ、確かに。特Aの人とAの人でなんの違いがあるんですか?」
と自分の質問を遮られた事も忘れたのかドク口が付随してくるが――
お前はそれで良いのか? 私がこんな扱いを受けたら怒りに身を任せてストッキングの鬼神の如く、アイドルに襲われている痴漢を助けてしまうかもしれないぞ? 但し襲っているアイドルもストッキングの鬼神だが。
まあ、間抜けなドク口はそんな事には気が付かないとして、竹中の答えだが竹中は後ろ頭を掻きつつ。
「あーそうですね。今の説明だと明確な差が――クソガキとうんこ御子息の差くらいわかり難かったですね。まあ端的に言うと特A級は魔法の開発者。そしてA級は酢マホの開発者という事です」
なるほど。クソわかり易いと私が頷いていると竹中は続ける。
「もう少し詳しく説明をすると、私達特A級の5人は酢マホがなくても魔法が使える、自力で呪文詠唱が出来る故に、呪文を様々に組み立て新たな魔法を生み出す事が出来るのです。それに対しA級の人達は私達が開発した魔法をプリケツに落とし込む、そのプリケツを酢マホに入れる、更にはそこから試運転……と、そういった事がメインになります」
なるほどな。特A級の竹中でさえ「ドク口」という呪文を昨日まで理解していなかったくらいだからな……それ以下であるA級の奴に新しい魔法を開発する技術はないという事か。私も未だにドク口が
しかしそう考えると面白いな? ここまでの話を総合し、仮にこの世界でデジタル魔法使い同士の戦いが勃発した場合――
バトル漫画とかならトンでもない量のMPを持ったキャラが、無尽蔵なMPを良い事に大魔法を連発してゴリ押すみたいな戦術も見られるが、この世界のデジタル魔法使い達は最大MPも使える魔法も基本全員が一律になっている。つまり本当に魔法使い同士の戦闘が発生した場合、本人達の技量や思考能力の差が勝敗を分ける事になり、良くある
と、私が永遠の61歳とアイスクリームを50回噛んでから飲み込む51歳の魔法使い同士が戦ったら凄い頭脳バトルになりそうだという妄想に耽っていると、横から竹中の言葉が飛んできて現実に引き戻される。
「まあ、そんな訳で酢マホは今買う事はオススメしませんね。せめて自分がC級ライセンスとB級ライセンスのどちらを取得するか決めてからの方が良いかと思います」
まあ、普通はそうなるな……付け加えるならA級以上を取る必要など我々には全くないし。
「因みにウチの学園に1年通えばC級ライセンスは卒業と同時に自動で取得出来ます。B級以上は更に勉強してテストに合格とかしないといけないんですけど――とそうだっ!」
とここまで言った竹中の顔が急に跳ね上がる。
「忘れていました。テストで思い出したのですがノレ殿、ドク口さん。明日は朝から学園に来て頂けますか? クラス分けのテストがありますので」
『クラス分け?』
私とドク口が同時に声を上げる。
「はい。ウチの学園は人気が高く生徒も多いので必然的にクラスも多くなります。なので予め同じくらいの学力の生徒達を同じクラスにしておき、それにより授業の内容や進行速度を変えるのでクラス分けテストがあるのです。無論、ここで言う学力というのは魔法に関してのですが」
「えーと、つまり優秀なクラスから落ちこぼれクラスまで……を分けるためのテストって事ですね?」
ドク口の言葉に竹中は乾いた笑みを浮かべ。
「まあ身も蓋も、血も涙も、毛髪も存在感もない言い方をするとその通りです。因みにざっくり説明しておくと午前中は筆記試験で午後は実技の的当てです」
「で、でたぁー!! 異世界ファンタジーの実技試験といえばお約束の的当てっ!」
とはしゃぐドク口だが……何がお前のテンションをそんなに上げるのだ?
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