閑話
ん? ステータスオープン?
っと思い竹中の酢マホを覗いてみると画面に何か映っているのがわかるが――細かいところをチェックするより早く隣のドク口。
「ってなんだ……普通に酢マホのスペックが見れるだけですか。こう――空中に自分のステータスが浮かび上がったりする訳じゃないんですね?」
いや、だからそんなゲームみたいな事が起きる訳ないだろう……と思ったが、酢マホを介したデジタル魔法ならば可能なのか? いや、でも良く考えればそんなプライバシーがバレバレになるような事をする訳ないか。仮にもし私のステータスが空中に現れでもしたら――
美貌:10
賢さ:21
野生:1
夜行性:8
吸引力:2
羞恥心:-5
という完璧なステータスが周知の事実になってしまうからな。流石にそんなマネはまともな神経をしている開発者ならやらずに、素直に画面に映すだろう。
っと思いながら改まり竹中の酢マホを覗き込んでいると竹中。
「まあ確かに空中には浮かびませんが、一応酢マホのスペックだけじゃなくて、私のステータスも確認は出来ますよ」
とここまで言うと竹中は酢マホに向かい。
「プリケツ、酢マホじゃなくて私のステータスを出して」
すると酢マホの画面は瞬時に切り替わり、竹中の顔写真……というか運転免許証のような画面が映っていた。
「あー、へぇー、住所に氏名、生年月日。それと所持しているライセンスの種類ですか……あとは通り名? えっ? 竹中さんて『ナーロッパの天才魔術師~季節のセクシーな大根を添えて~』なんて通り名があるんですか? ってなんで通り名にサブタイトルがあるのッ!?」
一人ノリツッコミみたいな事をしているドク口だが、ツッコムところはそこじゃないだろうと言いたい。しかしツッコム義理はないので私はシカトして。
「あの、ライセンスの種類ですけど……この特A級というのは?」
「あ、特A級ライセンスというのはこの世界で最上位の等級となっていて、世界でも私を含めて5人しか持っていないライセンスです」
『はっ? えっ!?』
私とドク口の声が見事に揃う。
「じゃあもしかして竹中さんて世界で5本の指に入る魔術師って事ですか?」
というドク口の質問に竹中は静かに首を左右に振り。
「いえ、3本の指に入ります」
「トップ3!!」
驚いたな? 私も全裸で温泉卓球をやらせたら世界で3本の指に入るとは言われているが、あとの2人が誰なのかは知らん。実際今まで戦ってみて歯応えのあるそれっポイ奴は一人もいなかったからな。
っと私が想いに耽っていると竹中は続ける。
「まあ、一先ず私の話は置いておくとして、丁度良いので酢マホのスペックとライセンスの等級の関係を一緒に説明しておきましょう。プリケツ、画面を酢マホのステータスに戻して」
と、竹中が命じると画面は酢マホのスペックに戻るが……どうも気になる。ジャムおじさんが若い頃はジャム男児とかジャム男性と呼ばれていたのかも気になるが、そうではなくてさっきから竹中のステータス画面にしろ、酢マホのステータス画面にしろ、或いはジャム叔父上のステータス画面にしろやたらと充電の残量が目に付く……というか一番目立つ。私が使っていた微妙にヌルヌルする普通のスマホで考えれば、充電の表示なんて画面端に小さくあるはずなのに何故だ?
……あ。
なるほどそういう事か。この世界のデジタル魔法使いにとって酢マホの充電が切れたら魔法が使えなくなる訳で、酢マホの充電残量=MPだからか。
例えばトノサマのSP達が勇者であるはずの私が健全な不審者だったので銃と一緒に酢マホを構えていた。つまりそれは魔法による攻撃が可能な事を示していて、場合によっては魔法使い同士による魔法バトルもこの世界ではあり得る訳で、そうなってくると当然MP――酢マホの充電残量はデジタル魔法使い達の生命線になる。……から普通のスマホなんかより充電残量をわかり易く目だ立たせているのか。
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