第66話 あたしが攻略中なんだから
図書館勤務女子たちの業後、
恒例の、ドーム屋根寺院お膝元の繁華街にある、カフェでの集まり。
アマリリスも、今日はまだ1月の3日だし、5講目に面白そうな講義が見当たらなかったし、
というわけで顔を出していた。
彼女たちはこうも頻繁に会合をもってはしゃべくり合い、毎回何を話しているのであろう。
いったい、彼女たちの話題は尽きるということがないのだろうか?
否、集まって話すだけの話題がなければ、その話題を作り出すために集まるのが女子のならわし。
相変わらず会話はとりとめもないが、本日の場の流れはなんと男談議。
プリムローズとそのカレシの
にわかに異性への関心を掻き立てられたのは、アマリリスだけではなかったらしい。
彼女たちの共通の知己である、図書館勤務の男性職員を一人ひとり取り上げては、
誰それがイイとか、アレはないわ、だのと言い合っている。
やおら、ルピナスの名前までが彼女たちの口から飛び出してきて、
アマリリスは思わず、口に含んだアイスティーを吹き出しそうになった。
「地味めカッコいい」「普通?」「そう思って見ればイケメンかも?」
「優しそう」「仕事も丁寧だし」「ベッドでも丁寧そう」「あんなカレシほしーー」
概ね高評価、したがってアマリリスにとっては剣呑な方向に話が漂いはじめている。
だめだかんね、その人は今あたしが攻略中なんだから、、と遮りそうになって、
それを言ったら、どれだけ長丁場の尋問と厄介事に巻き込まれるかを予測して口を噤んだ。
大丈夫だってば、みんな話のネタが欲しいだけだし。
仮に彼女たちの誰かがその気になったところで、
あたしの方は
でもでも、恋は順番じゃないとも言うし、あたしがこんなに美少女だからと言って、安心はできない。
この
あーもー、プリムが引っ掻き回してみんなを焚きつけるもんだから面倒なことに。。
―――そうか、プリムと言えば。
そうだよ、ソレが発端にして答えじゃん。
場の流れを変える道筋を見つけて、アマリリスはまじまじとプリムを見つめた。
もともとゆるふわな性格に加えて、カレシ持ちの余裕か、時おり口を挟むほかは主に聞く側に回っているプリム。
ひとつ
なんてものは、見えてくるわけがない、ラブコメじゃないんだから。
アマリリスの視線に気づいて、プリムも微笑み返してくる。
思惑はそれぞれの2人ながら、ともに悪戯っぽい笑みを目元に浮かべて視線を交わしあった。
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