第46話 優越感と憐憫

それからというもの、アマロックは二月あまりに渡って、

日に4回から5回もアマリリスを抱いた。


「毎日。。。」


「5回。。?」


「そんなにいっぱいするもんなの??」


「さぁ。どうだろ、相手ケダモノだったし。

一般的にどうなのかは、知んない。」


アマリリスはわざとそっけなく返した。


そうか、この人たちは知らないんだ。

アマリリスの胸に、子供っぽい優越感と、うらはらにかすかな憐憫が灯った。


狂おしいほどの焦燥に我を忘れ、世界の一切が消し飛ぶような一時。

必死にしがみついているはずなのに、自分の手足はまるで水になって溶けてしまったように実感がなく、

アマロックの肌の弾力と、温もりだけを感じる。

身を焦がすような切なさと、甘く、満ち足りた気だるさ。


そういったさまざまな感覚や感触を一気に思い出して、

アマリリスは頬が赤らむのを感じ、ごまかすように頬杖をついた。


「でもいいな、そういうの。

それだけ愛されてるって事なんでしょ?」


「ん・・・?」


ジュリアンの声に、夢から覚めた。


すこしだけ意地悪な気持ちになって言った。


「そんなわけないでしょ。ヤりたいだけ、よ。」


「えーっ、やだぁ。そんなの」


「やでもそうなの。やりたいんだから仕方がないの。

もう、子供は帰って寝なさい。」

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