第29話 反省会 3
レィオーンパードは、やんちゃ盛りの子供だとカミュルイアンとアリアリーシャから思われていた事が気に食わないという表情をしているので、言った二人は少し面白そうな表情をする。
お互いに友人というようりも弟のように思っていた事もあり、レィオーンパードの表情の変化が面白いと思ったようだ。
「レオンは、身体能力が高いのは、ジュネス達のお陰なんだろうな。オイラ達は1年経たずに追い越されてしまったからね」
「そうね。後期の武道大会で私達は敗者復活戦だったけど、レオンは本戦に行けたものね」
アンジュリーンは、面白くなさそうに付け加えると、レィオーンパードの表情が戻ってくるが、アリアリーシャは納得できてない。
「うーん。戦闘力は、有るのよねぇ」
「な、何だよ、姉さん」
レィオーンパードは、戦闘力を強調するように区切って言うので面白くなさそうにすると、アリアリーシャがやっぱりというよに少しがっかりした様子をしたので、それを見たカミュルイアンは少し慌てたようだ。
「レオンは、今の話を聞いていたんだ。きっと、これからは、ただ強いだけで終わらないはずだよ。もう少し経験を積んだらオイラ達にアドバイス出来るようになるって」
今まで、レィオーンパードの戦い方に付いて話が上がっていたのだから、ここで反論するようなら同じ事を繰り返す事になると思い、今までの話を思い出させる為に口を挟んだのだが、アンジュリーンは少し面白くなさそうな表情で黙って聞いている。
「まぁ、経験の長さと言ったら、カミューとアンジュなのよね」
アリアリーシャは、一瞬、アンジュリーンを見るが、直ぐにカミュルイアンに視線を戻すので、アンジュリーンは面白くなさそうにする。
「レオンは、ジュネスとシュレの二人と一緒が多かったから、体力的な部分や戦闘力には長けているけど、あの二人の考え方には付いていけなかったのね」
「そりゃそうでしょ。あの二人は、小さい時からパーティーに入れてもらえていたって言ってたし、冒険者やパーティーの基礎まで教わったって言うから、相当運が良かったんじゃないかな」
「そうよね。私達なんて冒険者になるって言ったら、それで終わりだったわね。ギルド支部もギルマスのエリスリーンも何もしてくれなかったわ」
その言葉にカミュルイアンも頷く。
「私もそうだったわ。それで寂しそうな目で見られたわ。あれって、きっと、私は生き残れないだろうと思われてたんだと思う」
アリアリーシャは、少しムッとした様子で答える。
「あの目があったから、絶対に生き残ってやるって思えたし、国を出て別のギルド支部で評価を上げてやろうと思ったわ」
思い出すとイライラしたようだ。
「それに比べると、レオンは本当に良かったよな」
「そうよ。一番恵まれた環境で冒険者になれたと言って良いわね。残っていたジュネスとシュレに出会えたんだから、運が良かったとしか言いようがないわね」
二人の話を聞いてアリアリーシャは少し寂しい表情をする。
「そうね。あなた達二人が、もう一年、ギルド支部の寮に留まっていたなら、私達も三人で活動できたかもしれなかったのね。それなら、私があなた達の妹として、今のレオンのような感じだったのかしら」
珍しく弱気な発言を言うアリアリーシャを、アンジュリーンは意外そうな表情で見ると、カミュルイアンが疑問そうな表情をする。
「それは、どうだろうか」
カミュルイアンは、寮を出た時の事を思い出しながら答えると、アンジュリーンも当時の事を思い出したようだ。
「私達は、今のアリーシャより背が低かったと思うわよ。妹にはならなかったんじゃないかしら。下手をすると姉に見られたかもしれないし、小さかったとしても直ぐに越されてしまったわよ」
当時の年齢を考えると、エルフの二十五歳なら亜人や人の十歳と変わらない。
ならば、転移したアリアリーシャと二人のエルフの見た目年齢に大差は無い。
カミュルイアンは口を濁したが、アンジュリーンはハッキリ言ってしまったので、アリアリーシャは残念そうにした。
「でも、言葉位なら教えられたと思うよ。それに三人で活動していたら、もう少し狩りの効率も良かっただろうから、もう少し早く入学できていたかもしれないよ」
「まあ、私達だって子供扱いされていたから、結局二人での活動だったから制限される事は多かったしリスクも高かったわ。三人だったら、もっと戦えたかもしれないわね」
アンジュリーンも同意すると、アリアリーシャも過去の事を色々考えても仕方が無いと思ったようだ。
「まっ、お互い、運が無かったって事でしょうね」
話をまとめようとするとカミュルイアンは少し違うと思った様子でアリアリーシャを見る。
「それは違うと思うよ」
カミュルイアンの言葉が気になるが、それから先を言おうとしない。
「カミュー?」
アリアリーシャは、気になり声を掛ける。
「もし、オイラ達が、あの寮でもう一年生活してアリーシャと出会っていたら、早く入学できたと思う」
その言葉を聞くとアリアリーシャは何かを想像したのか、何となく納得するような表情をする。
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