第25話 イレギュラー 3
一方、アンジュリーンとカミュルイアンは、魔物を左右に分断した事により左側の魔物が迫っていた。
地面から弓で応戦していたカミュルイアンは、魔物との距離を保てなくなったと判断すると、自身の弓を地面に置き矢筒をアンジュリーンの立つ岩の上に置く。
「アンジュ。剣で対応するから、オイラの矢も使って!」
「分かったわ」
それだけ言うと剣を抜き右下段に構えて一番近い魔物に向かう。
距離が狭まるとカミュルイアンは左に移動したので、魔物もそれに合わせて方向を変え間合いに入ると首筋に飛びかかってくるのに合わせてカミュルイアンは剣を上に振りながら体を低くして魔物を躱しながら首をはねると次の魔物を確認する。
その間もアンジュリーンは矢で魔物の数を減らしていた。
剣で対応しているカミュルイアンに対して次の攻撃に備えさせる為、近づいてくる魔物から倒していき、カミュルイアンが剣で倒したのを確認すると、最初の一匹を残して後ろの魔物を倒していく。
一度に複数の魔物と対峙させない為にアンジュリーンの矢が周囲の魔物を倒していくので、カミュルイアンは一匹の魔物だけに集中できる。
「カミュー。あまり前に出ないでね」
「分かった」
カミュルイアンは、最初の魔物に対峙した時に動いていたので、そのまま何度も繰り返していくとアンジュリーンの岩から離れてしまうから、次の魔物を確認しながらアンジュリーンの岩の方に戻った。
アンジュリーンとしても、カミュルイアンが先行してしまい二人の間が空いてしまうと不測の事態を招きかねない事を知っており、岩の上に立って弓を使う側としたら近くで剣を振るってもらっていた方が都合が良い事から釘を刺した。
カミュルイアンは、次の魔物との距離が近付くと最初と同じように右下段に構え、同じように走り出し右へ向かうようにして同じ方法で倒すと直ぐに岩に戻る。
常に同じ方法を取って近付く魔物を倒していく。
カミュルイアンの慎重さは、常にリスクを低く確実に倒す事を優先する。
その結果、常に同じ動きで攻撃を仕掛ける。
単調な魔物の攻撃には都合が良かった。
何度か繰り返して岩に戻るとアンジュリーンが岩から降りてカミュルイアンの隣に歩いていく。
「矢が終わったわ。拾い集める時間が無いから、ここからは二人で剣で対応よ」
「この狩りも、もう終わりそうだからね。それで良いよ。あっちの二人も終わりそうだよ」
その事なら知っているというように、鼻を鳴らすような仕草をする。
「あっちは、派手に動き回っているわね。アリーシャの体力も化け物並みよ」
「うん。レオンのホバーボードに付いていくんだから凄いよ」
アリアリーシャは、先行するホバーボードに乗ったレィオーンパードを生身の亜人が追いかけて狩損じた魔物を狩るようにフォローしていた。
乗り物に乗ったレィオーンパードを走って追いかけてフォローするのは至難の業であるが、アリアリーシャは普通にやってのけていた。
アンジュリーンとしたら、カミュルイアンのフォローだけでなく、場合によってはレィオーンパード達のフォローも考えなければならない。
岩の上から視界の良い場所で弓を使うというのは、全体を見て状況判断も求められる事だと分かっていたので、常にカミュルイアンに向かう魔物だけでなく、レィオーンパード達に向かう魔物にも気を配っていたので、二人の動きも視界に捉えていた事からアリアリーシャの動きも分かっていた。
アンジュリーンは、カミュルイアンと自身の剣の間合いから外れる距離を保って岩の前に立つと前方を確認する。
「最初は、前を走る二匹ね! 私は右、カミューは左をお願い」
「うん。その後ろにも続けて走ってくる」
「じゃあ、次の魔物はカミューね。後の魔物は同時攻撃されそうもないから、後は交互に倒すわよ。こっちの剣の方が、あっちの二人より長い分、間合いにはお互いに気をつけましょう」
(えっ! アンジュも間合いを気にするの。だったら、最初の居合斬りをしようとした時、もっと、周りを見て注意しても良いでしょ)
「分かった。次の魔物はオイラが倒すから、その次を頼むよ」
カミュルイアンは、一瞬、変な表情をするが直ぐに元に戻して返事をする。
「それじゃあ、行くわよ!」
アンジュリーンの掛け声に合わせるように二人は先頭を走る魔物に仕掛けた。
止まっていた二人が同時に迫ってくるので、魔物は自身の間合いで飛び上がれず、二人が通過すると同時に二匹の魔物の首が飛び胴体は前に転がっていく。
アンジュリーンは、走る速度を緩めるとカミュルイアンが次の魔物と向き合った。
魔物は、カミュルイアンが走る速度に合わせて飛び掛かるが、待ち構えていた剣が右下段から上に振り上げられ魔物の首を切断した。
魔物から黒い炎が上がるのを確認しているとアンジュリーンが前に出て次の魔物が飛び掛かると同時に右へステップすると上段から剣を振り下ろし首を斬り落とした。
魔物は着地出来ずに地面を胴体と首が転がり黒い炎をあげると、その横をカミュルイアンが抜け出して次の魔物に向かって走っていくと、同じように右下段から剣を振り上げて魔物の首をはねていった。
二人は交互に魔物の相手をする。
カミュルイアンは、常に右下段から剣を振り上げていたが、アンジュリーンは、下段だったり上段だったり右から左からと、次々と違う構えから倒していったが、右下段からの攻撃は行わなかった。
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