第21話 お勉強とお稽古
ノアの身体的特徴が知りたいと感想で頂いて、あ、そういえば描写してないと思ったのでここで書きます。
身長:160センチ前後
体型:細身。しかし出るところは慎ましいながらも出ている。
髪型:肩甲骨辺りまで伸ばしているストレートヘア。色は藍色。
顔:かわいい系。凛々しさとほわほわとした雰囲気を両立させている
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面での制圧力において彼以上の人物はいない。
ツバキのその発言にリリアは素直に頷いていた。
能力としてはあまり派手ではない。本人の魔法技術を前提としたもので、ツバキのように魔法のセンスがなかったり、そもそも内包する聖気の量が少なかったらお話にならないレベルのハズレ能力だったことだろう。
例えるのなら酸素じゃなくて窒素でも呼吸できるようになったよ。と言う感じだろうか。まあ便利だが、今までと何か明確に変わったという実感は湧かないのではないだろうか。
面での制圧力があると評価されるだけで、魔法使いとしては破格の実力を持っていると言うことと同義である。
俺も数十年魔法に触れている身だ。独学とは言え、全ての属性に適性があり、そこそこの規模で攻撃することもできる。
だが、俺の原作知識にあるリベラートの全力は俺ですら厳しいと思う代物だった。
流石統括と言うべきだろうか。
そんなリベラートに教えを受けられるのならぜひ受けておくべきだと思う。
ということで、やって来ました司令部。
俺はまあいつも通り布に包まれながら馳せ参じた訳だけれど。
「なるほどね。だから俺にお鉢が回ってきたと」
「そういうことよ」
ちなみに、ツバキは帰った。いつも任務で一緒に行動している班のメンバーとルームシェアしているらしく、今日は晩御飯の当番なのだとか。
「うん、いいよ。元々レイやノアに文字を教えるという約束をしていたからね。その延長で能力の扱い方も教えられるだろうし」
「任せたわね」
「うん。任された。じゃあ早速今日から始めちゃおうか。リリアは今日は用事ある?」
「アタシ?特にないわね」
「じゃあレイに文字を教えてあげて。俺はノアを見るから」
「任されたわ」
ふおー!文字ですよ!これで意思疎通ができるようになる!
喜ぶ俺を尻目に、リベラートはノアを連れて統括室から出ていった。残されたのは俺とリリア。
「じゃあ、始めていくわね。あいにく紙なんて贅沢品はないから、石板に文字を書くことになるけど……」
それなら大丈夫だ。紙に書こうが石に書こうがどの道変わらないだろう。
そう思ったのだが、リリアはなんか気まずそうにしている。
「あのさ、土魔法使える?」
あーなるほどね。啖呵切ったはいいが肝心の石板を用意できないのか。リリアは土魔法が得意では無い。若しくは適性がないのか。
「バカにしてないでしょうね?」
してません!断じて。
「ならいいわ」
なんで考えていることが分かるんだよ。
「じゃあ文字を教えていくわね。とは言っても、アンタ言葉は通じているみたいだし、あとは文字と音を照合させるだけね」
押忍。気張って行きます。
*
「ノアの能力は念だっけ?」
「うん、そうだよ」
私は現在、南部境界守護者のトップであるリベラートと一緒に屋内訓練場へと足を運んでいた。
数百人くらいなら余裕を持って収容できそうなほどの面積を持った訓練場だ。剣や槍、弓と言った武器のレプリカが壁に立てかけられていたり、人や魔物の形をした的が並んでいたりと、正に訓練場と言った様相をしている。
誰かが使った痕跡もある。
少し遠くでは模擬戦を行っている男子二人の姿も見える。
……私もあれだけ戦えるようにならないといけないのか。
今までの待遇から考えれば天国のように思えるほどここでの生活は充実している。まだここに来て数日だけれど、ここにいる全員が私の味方だし、何より魔界で私を救ってくれたレイもいる。
かつてはとりあえず故郷に戻られるのならそれで良かった。
しかし、一度守護者としての生活を経験してしまったらもう昔の生活には戻りたくない。
もう二度とかつての生活に戻りたくはないと思ってしまった。例え命の危険があろうとも、いや、命の危険があったのは昔も同じだった。なら断然こっちの方が良い。
「俺の能力は知ってる?」
「知ってるよ」
『聖気転用』。リリアやツバキが言っていたけど、聖気を用いて魔法を扱うことができる能力。本来なら魔物に対して魔法は効き目が悪いのだが、聖気を用いることで魔物に対して特攻となるという如何にも便利な能力らしい。
最も、本人の魔法技術が能力によって向上することはないので、如実に実力が反映される能力だと言うことも聞かされた。
能力そのものが強力かと言われると、恐らく私が見てきた人々の誰よりも弱いと思う。
「じゃあちょっと使ってみるから、聖気の動きとか感じ取ってみてね」
そう言ってリベラートは能力を使用した。
聖気は見ることができないけれど、感じ取ることは出来る。リベラートが能力を使用すると、聖気は魔力器官である心臓付近に集まった。
「行くよ」
そうして、彼は掌を目の前に翳すと手のひらサイズの火の玉を作り出し、それをそこそこ離れた距離にある的へと放った。
ボン!
という音と共に、着弾した火の玉は爆ぜた。
「まあこんな感じで、今まで意識してきたかは分かんないけど、魔力を魔法へと変換する器官と能力を扱うための器官っていうのは同じなんだ。これは俺の能力が聖気を扱って魔法を使うからとか関係なくね。つまり、能力とはその人のオリジナル魔法と言うこともできるんじゃないかなんて言われている」
それは、何というか初耳だった。
「まあ、そんな考察がされているのは俺たち守護者の中でだけなんだけど。そういう訳で、このことを意識してから改めて能力を使ってみなよ。多分、自分の力についてより理解が深まるかもしれないね」
「……分かった」
今まで使ってきた能力。それをもう一度使用する。それと同時に、自分の聖気がどこにどれだけあるのかも把握し……。
「なにか掴んだ顔だね。ちょっと試してみな」
そう言われたので能力を使用してみる。
そこら辺にあった案山子に能力を使用すると、案山子は容易に破裂した。
「威力が上がった……」
「なるほど、まさか意識を改善するだけでここまで変わるとはね……」
破裂した案山子は特段硬度があった訳では無いが、それでも素手で破壊することは難しいものであった。
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