She's a Rainbow.

川線・山線

第1話 “She‘s a Rainbow.”

もう25年ほど前になるのか、まだ私が独身で、医学科の低学年だったころ。Windows95は出ていたが、まだMS-DOSの遺産を大いに引きずっており、まだまだ使いにくかったころだ。学年が上がったら、レポート作成なども増えるだろうから、新しいPCを買おうと考えた。


大学の授業のコマ数も余裕があったので、その分アルバイトに精を出し、新しいPCを買える余裕ができた。当時使っていたPCは、友人から4万円で譲り受けたMacintoshのLC525(わかる人にはわかると思います)。当時の漢字Talk(今のMac OS)の使いやすさは気に入っていたものの、CPUも68LC030という遅いもので、限界を感じていた。


丁度そのころにスティーブ・ジョブズ氏がAppleに戻り、iMacが大人気となっていた。初代iMacの人気に続き、カラーバリエーションの増えた2代目iMacがちょうどその時期登場した。


TVのCMでは、The Rolling Stonesの”She’s a Rainbow”の曲とともに、5色のiMacが画面をくるくる回り、ダンスをしているような印象だった。CPUもPowerPC(これまたわかる人にはわかると思います)を積んでいて、値段もお手頃、という事で、購入を決めた。あのときに欲しかった色は何色だっただろうか、もう記憶にないのだが、このように複数の色があるものは、どうしても人気の色とそうでない色が出てしまう。


「紫ならすぐ納入できますよ」という事で紫色を選んだ。ついでにスキャナとプリンタも購入。あの頃はインターネットには普通の電話回線でつないでいた。なのでプロバイダはPCに詳しい友人に相談し、その友人が入っているプロバイダに入った。


あの紫のiMac、どうして手放したのだろうか?それがあまり記憶にない。便利でよく使っていたのだが。


iMacがヒットする一方で、Macのゲームソフトはどんどん減っていったことを覚えている。お金がないので、ゲームソフトを買うお金もなかったのは事実だが、それでもずいぶん使っていたのに、どうして手放してしまったのだろうか?


因みに私は、初代iBookも持っている。これは自宅の物置に置いている。おそらく内部電池が切れているので、立ち上がるかどうかはわからないが、捨てるにはもったいないと思っている。iBookは、確か人気のあった「ブルー」を選んだはずだ。


当時の「イケてる」学生たちは、授業中にノートPCを開いて、しかし当然ネットにつながっているわけではなく(wi-fiなんてものはなかった時代である)、教科書に付属のCD―ROMを読み込んでおいて、授業中わからないことや、勉強中の疾患の病理写真などを見たりして勉強していた。私自身もそんなようなことをしていたように思う。


あの頃のiMac、iBookともにカラフルだった。ストーンズの”She’s a Rainbow.”の曲のイメージとよくマッチしていたように思う。


四半世紀も昔の話である。

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