小説サンプル6(掲載許可済、ご依頼)
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虚構の空間、静寂の中をただ歩く。前も後ろも分からない。時間の概念すらない彼女の世界で、どれだけの時間歩いただろうか。ふと、目の前に宮殿が現れた。
景色に溶け込んだような、白い宮殿。穢れを知らないかのような潔白さは、彼女の心根を体現したようだ。
ここに彼女は居る。根拠はないが、××は何故かそう確信していた。導かれるように、宮殿の中へと足を踏み入れる。
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大きな扉を開けばそこは回廊。無機質な白い世界の中で、細部まで作り込まれたその精巧な装飾と内装は、華美ではないが、落ち着いた上品な印象を受ける。しっかりとした石畳の地面、壁、柱を這う模様が、床や壁の装飾に繊細さを添えていた。
一つ一つを見ていれば、どうしても足を止めてしまうが、××はそれでも進んでいく。この先にいる、彼女に会うために。
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