(7)
「あ……あれ……そんなにヤバい奴なの?」
謎の女(その2)の慌てぶりを見て、僕は、そう訊いた。
まさか、「体液がかかると自分も寄生される寄生生物」と3連戦ッ?
「あいつは……魔法の細菌兵器を撒き散らす」
……。
…………。
……………………。
「御主人様……大丈夫だか?」
背後からスナガの声。
ああ、だから……サイコ女がガスマスク
「あいつを傷付けたら、体液がビュ〜っと飛び散る。霧状になってな。体液が皮膚にかかると感染、目とかに入っても感染、体液の飛沫を吸い込むと、やっぱり感染だ」
「え……えっと……感染したら……?」
「理論上は、3時間から5時間ぐらい悶え苦しんで死ぬが……大概の奴は1時間以内に死ぬ」
「へ……っ?」
「苦しみの余り、自分で舌を噛み切るような事故を起こすか……さもなくば、苦しみを終らせる為に、自殺するか……」
「最悪じゃないかッ‼」
「安心しろ、あいつが作れる最悪の怪物がアレだ。アレさえ乗り切れば、アレより厄介な最悪は
「どうやって倒すんだよッ‼」
「1つだけ手は有る……でも……いや……」
「どうしたの?」
「どうも罠にしか思えん」
「いや、一戦でも落せば、負けなんでしょッ‼ とりあえず、あいつを倒して、最終戦は、最終戦で考えようよ。あいつ以上の最悪は無いんでしょッ?」
「そうだけど……あのさ……お前、阿呆だろ」
「時間がない、時間がない、って言ってたの、そっちじゃんッ‼」
「判った、判った、とりあえず、適当な武器を持って、あいつの前に立て」
「は〜い」
「じゃあ、試合開始か?」
話し合いと呼べそうにない話し合いが終った後、サイコ女が、そう言った。
やれやれ、これだから女ってのは非論理的。
「ああ、開始だ。早速、あたしが魔法で、そのマヌケを支援する権利を行使する」
謎の女(その2)が、そう告げた。
「いいのか? 1回だけしか使わない、そう言ったのはお前だぞ?」
「使う」
「確認するが、本当にいいんだな?」
「使う」
「お前だって馬鹿じゃない。下手に使ったら私の思う壺になるかも……ってのは、薄々、気付いてるだろ」
「ハッタリだッ‼ お前は、そいつ以上の強敵は、作り出せない筈だろッ‼」
女同士の非論理的で感情的な言い合いに飽き飽きした僕は、そう叫んだ。
「そうだ。その通りだ。こいつが私の手駒の中でも、お前らにとって最悪の奴だ」
「じゃあ、とっとと魔法で何とかしてよッ‼」
「判ってるな、あたしが魔法でお前を支援すんのは……この1回だけだぞ」
「判ってるからやって」
次の瞬間……。
「ぐええええ……ッ‼」
細菌兵器人間が……炎に包まれた。
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