(5)

「ぐがががが……」

 聖女様がハンマーに付与した魔法によって植物人間の体が崩壊……いや……。

 植物人間の体は崩れているけど……植物人間に取り憑いてる謎植物が暴れ出して、まだ人間の部分……肉や皮膚……を自分で破壊している。

 植物人間は、見る見るに、本当の植物と化していく。

「あああ……」

 植物人間の哀しげな目も……暴れている謎植物によって体の内側からブチュ〜っ。

 けれど……人間の皮膚や肉が無くなって謎植物だけの体になった植物人間は……ハンマーの光によって、どんどん枯れ……や……やった……勝利だ。

 見て、見て、聖女様‼ 勝ったよ‼ 聖女様の魔法のお蔭で僕の大勝利……って、えっ?

 ハンマーの光が……少しづつ……弱くなり……逆に謎植物の枯れてた部分が……緑色になって……。

 そんなの有りぃッ⁉

 魔力切れぇッ⁉

 た……助けて……冗談じゃ……あはははは……。

 ハンマーの光は弱くなり……逆に、謎植物の再生速度はUPしていき……。

勇者ボルグ様ッ‼ この武器から手を放して下さいッ‼」

 その時、聖女様の叫び。

「えっ?」

 思わずハンマーの柄を放してしまい……それを聖女様が掴む。

 けど……聖女様の細腕では……支えきれ……。

「駄目ですッ‼ これから危険な魔法を使いますッ‼ 離れて下さいッ‼」

「は……はいッ‼」

 どういう事?

 危険な魔法?

 何? 何? 何? 一体、何?

「もっと離れてッ‼」

「ええええ? いや、でも……」

「時間が有りません、理由わけは後で説明しますッ‼」

「はいいいいッ‼」

 とりあえず、理由は判んないけど……聖女様の指示に従い、全力ダッシュっ‼

 で……でも……。

「うわああああッ⁉」

 急に全身に痛みが……。

 あ……「火事場の馬鹿力」を短時間に何度も使った時と……同じか、それ以上の……。

 呼吸すら出来ない……目が霞んで……気が遠く……。

 ぼやけた目に写るのは……光の柱……ああ……多分、聖女様が……あの謎植物を……倒し……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る