(11)

「せ……聖女さまぁ〜、何とかしてけろ〜ッ‼」

 よくよく考えたら、バランスがクソ悪いパーティーだ。

 ヒーラー1人に戦士1人に役立たず1人。

 木のようなナニかに変ってしまったサイコパス洗脳能力者の体から……何本もの蔦みたいな触手が伸びて、僕達を拘束してた。

「スナガっ‼ 何か武器はっ?」

「すんませんだ。ねえですだ」

 この野郎、いつか殺す。

 スナガを殺す為に、今は何としても生き延び……。

「解呪出来るかも知れません……」

 聖女様から良いお報せ。

「ですが、時間がかかりそうです」

 続いて悪いお報せ。

 そして、僕の顔の前に一本の蔦触手が……。

 その先端には蕾。

 けど、その蕾は……花に変り……見る見る間に花が枯れ……小さな果物が出来て……。

「あがががが……」

 別の蔦触手2〜3本ぐらいが……無理矢理、僕の口をこじ開けようとして……。

 おい、待て、あの実、なんだ?

 僕まで、この植物系の怪物に変える気か?

 つか、こいつ元々、男だったよな?

 元人間の男の体から生えた触手が、僕の口の中に侵入して、何かヤバいモノを僕に植え付ける気か?

 何だ、その触手モノのエロゲーとホラー映画の「エイリアン」の最悪の悪魔合体はッ?

 た……た……た……たすけ……。

「*+√■△∵⁉」

 ようやくのところで……怪物化したサイコパス洗脳能力者が意味不明な絶叫。

 植物化した体が……枯れてくなら良かったんだけど……腐っていき……。

 うわあああ……。

 ボトボトボトボトボト〜っ。

 嫌な臭いがする腐った植物の破片が……床にも僕達の体にも降り注ぐ。

 そして……。

 やだ……。

 見たくなかった。

 何で、こうなる?

 嫌でも目に入ってしまった……腐った植物に包まれた人間の骨格標本。

 あのサイコパス洗脳能力者の成れの果てだ……。

「こ……これは……大地母神様の力にして……大地母神様の力にあらず……どうなって……まさか……?」

 聖女様も混乱しているらしく、やたら説明台詞っぽいのに、実際は何も説明してない台詞。

「なぜ…………?」

 ……な……どう云う事? 聖女様、何を言ってるの?

「ふざけんな。この世界の『大地母神』とやらが、あたしらの世界に先に手ぇ出したんだろうが」

 その時……更に訳の判らない台詞が……。

 女の声なのに……男のヤンキーヤンキーみたいな口調。

「だ……誰?」

お前おめえらにとっては、当面の間の味方ってとこかな?」

「ですが……貴方は……」

「そう……もう1人の『転移者』と力の源パワーソースは同じ。あんたの言う『異世界の大地母神』から力を借りてる。ただし、ある理由で、その『異世界の大地母神』から受けてる命令は正反対だ」

「な……?」

「あいつは、ある計画を進めろ。あたしは、その邪魔をしろ。その条件で、この世界に送り込まれた」

 声の主は……茶髪のボブカットに、革ジャンにウォーキング・ブーツ、ワー○○ンで売ってそうなシャツとズボンの……あのKKKまがいの組織を乗っ取ったサイコ女と同じ位の齢の奴だった。

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