第15話 別に君をまた好きになることなんてあり得ないけど
しばらくして明人は見つかった。結婚式当日ということを知っていた明人は驚いた表情をしていた。
「結婚式ブッチしちゃった、、あなたに会うために」
「え?」
「何でかは自分でも分からない。でも明人といたいと思って、、」
そう言って七瀬は明人に抱きついた。そしてキスをした。
翌日。ネットは大荒れだった。まず結婚式ブッチしたことがニュースになる。さらに七瀬が明人とキスしてる瞬間を記者に取られ、記事として出回ってしまったため、『結婚式ブッチしたカップルユーチューバー、別の男とキスをする』という見出しで世に出回ってしまった。
七瀬は家で猛反省した。
………何でこんなことしちゃったんだろう………
理由などないのかもしれない。ただ本能的に明人と一緒にいたかった。それだけだ。それでも大炎上してしまったし良太に合わせる顔もない。カップルユーチューバーだってもうできないだろう。後悔してもしきれなかった。家に記者が押しかけていたが全部無視して布団の中にうずくまっていた。
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〜河原良太の視点〜
良太はスタジオに来ていた。良太も記者から色んな質問されたが全て無視していた。それ以上に良太にとって何が起きたのか整理が追いついてなかった。でも若干、そんな予感もしていた。それは美波に図星をつかれた。
「予想的中しちゃったんじゃない?」
「え?」
「七瀬ちゃん。きっと元カレに気持ちが戻ったんじゃ、、」
「やめろ。そんなはずないだろ?体調が悪かったんだよきっと。だから式場から逃げ出した。それでたまたま元カレに会って看病されたりしたんだろう。それがこの記事の写真。憶測で世間が騒いでるだけだよ」
「へぇ。良太は看病でキスするんだ。じゃあ私が風邪引いた時もキスお願いね?」
「わかってるよ!!わかってるけどそう思いたいんだよ。七瀬を信じたいんだよ、、」
「辛いね」
美波はそう言って良太を抱きしめた。
「良太にこんな辛い思いさせるなんて。私ならこんな思いさせないよ?」
美波は良太を抱きしめながらそう言った。良太は複雑ながらもそのままハグされた状態でいた。
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〜笹井七瀬の視点〜
七瀬は良太との連絡手段を断っていた。それどころか結婚式ブッチして以来、家から一歩も出なかった。
『ちゃんと話がしたい』『何が不満だったの?』『気付けなくてごめんね』等と良太からラインがきていたのは確認できたが返そうとは思わなかった。
………本当に私、最低だよ、、………
心の中で何度も良太に謝った。良太は家まで来た。会いたくなかったけど良太は七瀬と話がしたい様子だった。
「七瀬、ごめん!!」
「なんで。なんで良太が謝るの?悪いのは全部私」
「七瀬の不満に気付けなくて本当にごめん!」
「でも、、私たち、もうカップルユーチューバーなんてできないよ?」
「いいじゃん。YouTubeなんて。ユーチューバーだからじゃない。七瀬だから好きなんだ。七瀬と結婚したいんだ。だから七瀬はYouTubeやんなくたっていい。世間からの攻撃は俺が守る。落ち着くまで七瀬は世間に姿を見せなくていい。不満あったらすぐ伝えてよ。怒らないから。だから結婚しよ。」
良太は土下座までした。「結婚してください」と。七瀬は良太の真剣さが伝わったがここで良太の元に戻るのは後悔が募る気がした。自分の気持ちに正直になってという楓の言葉も思い出した。
「ごめんなさい。私、本当に本当に良太のこと好きだった。でもその反面、良太の前だと無理しちゃう自分がいて。釣り合うために背伸びしちゃう自分がいて。それに疲れちゃった。本当に自分勝手だよね。ごめんなさい」
「無理しなくていいよ。自然体の七瀬が好きなんだから」
「良太の前で自然体になったことなんてないよ?良太は素の私を知らないんだよ。ごめんなさい!」
何度も謝る。七瀬には謝ることしかできなかった。何度も何度も謝って良太はやっと納得した。
「そっか。そんなに元カレが大事だったんだね。素の七瀬を引き出せなくてごめんね。安心させることできなくてごめんね。きっとより戻せるよ、元カレと。頑張ってね!落ち着いたら借りてる物とかも返しに来るからその時はよろしくね」
………どこまで優しいの。謝るのは私の方なのに。本当に。何でそんなに優しいの、、………
こうして二人は別れた。それと同時に笹井七瀬は世間から姿を消した。
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〜河原良太の視点〜
良太は美波と飲みに来ていた。美波が七瀬を吹っ切れさせるために誘ったのだ。
「さ、次の恋行こ!次!私はいつでも空いてるよーん」
「本気?」
「ま、まあ本気」
「気持ちの整理つくまで待ってくれない?」
「それは、、ついたら私と付き合ってくれるってこと?」
「今の気持ちのまま美波と付き合うのは美波に失礼だからさ。でも七瀬のことは忘れるつもりでいる。七瀬をまた好きになることなんてあり得ない。ちゃんと忘れるから。だから時間かかるかもしれないけど待ってほしい。俺のことを支えて相談に乗ってくれた美波なら時間はかかるかもだけど好きになれると思う」
「そんな、、今すぐ抱きついちゃいたいくらいだよ。そんなこと言われたら。でも。分かった。私、待ってるね!」
美波は泣きそうな気持ちを抑えて笑顔を作った。
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