第7話 別の人の彼女になったよ
卒業式。七瀬は担任の先生や楓と写真を撮ったり早稲田大学合格を祝福されたが気持ちはそれどころではなかった。
………何で卒業式すら明人はいないの?………
せめて連絡さえ取れればと思ったがラインは全て未読のまま。家には行ったことがなかったため、自宅に行って会うこともできなかった。この時、七瀬は知る。自分は明人のことで知らないことだらけだったと。
何度も鬼電したりスタ連したが明人は出なかった。絶対行くと約束していた春休み中の旅行も連絡がつかないまま流れた。
………何で!約束破らないって言ったじゃん。あの時の笑顔は嘘だったの?何があったの?教えてよ、、明人………
七瀬は卒業してからも明人のことを考え続けた。しかし、明人から連絡がくることはなかった。
………あのハグが最後だったなんて思いたくないよ、、好きって言ったじゃん。あれは何だったの。教えて、、明人、、………
七瀬は何度も泣いた。毎日毎日泣いた。それでも過去は吹っ切らないといけない。そう決心して大学デビューして新しい彼氏を作ろうと決めた。明人は自分のことを捨てたと思いこむことにして新しい彼氏を作って塗り替えよう。とにかく高校時代の自分とは別人のようにならないと。
その勢いでtiktokも始めた。これが後の結婚相手、河原良太と出会うきっかけになるのだが、それはtiktok始めてから3年後の話。とにかく明人を忘れるために大学で様々な事に挑戦していった。
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〜現代〜
七瀬は良太に高校時代の明人との事を話し終えた。
「な、なるほど。やっぱり元カレだったんだ、あの人」
「うん。でもね、これを話した理由はもう吹っ切れてるからなの。今は良太のことが本当に好き。明人とよりを戻したいなんて1ミリも思ってない。だからこそ過去を話しておいた方がいいと思って話したの。安心して。私はあなたから離れない」
「分かってるよ。信じてる。過去の話、教えてくれてありがとう!」
「うん。好きだよ良太」
七瀬はそう言い、良太と身体を重ねた。
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〜河原良太の視点〜
【登場人物紹介】
早川美波…有名ユーチューバーグループ、シックスラインズのメンバー。良太のことが好き…?
良太は七瀬の元カレの話を聞いて何か思うところがあったのだろうか、次の日の仕事中もずっと考え事をしていた。その様子を見て何かを察した美波が夜に良太を飲みに誘った。最初は美波の誘いを断ったが美波の強引な誘いに負け、サシ飲みをすることになった。
「何かあったんでしょ?話して、私に」
「何もないよ。」
「ぜーったい何かある!私、良太の助けになりたいの!」
良太は最初は頑なに話さなかったがお酒の酔いが回り始めたらすぐに昨日の出来事を話し始めた。
「なるほど。不安なんだ!良太は」
「そうじゃないよ」
「だって不安じゃなかったら何を悩む必要あるの?高校時代、1年くらい付き合ってただけの元カレのことで。その元カレと再会したことで七瀬ちゃんの気持ちがそっちに向いちゃうかも〜って不安なんでしょ?だから今日も撮影中、ソワソワしてたんでしょ?」
良太は何も言い返せなかった。半分図星だった。
「私が不安を解消させてあげよっか?」
カウンター席で美波は耳元で囁く。そして良太が答える間もなく、いきなりキスをした。
「大丈夫!良太はかっこいいよ?」
そう言うとお金だけ置いて美波は出て行った。良太はいきなりのキスに内心かなり驚いていた。
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〜笹井七瀬の視点〜
良太に元カレの明人のことを話した翌日。七瀬も仕事中、考え事をしていた。もう明人のことは吹っ切れているがやっぱり何故姿を消したのかだけ知りたかった。その気持ちが明人とのエピソードを話したことで、より強くなった。
………私、今は別の人の彼女になったよ。だからもう明人には会えないよ。でも知りたい。何で突然姿を消して連絡さえ取れなくなったのかだけ教えてよ、、何で声かけたら逃げるのかだけでも、、………
「七瀬さん?大丈夫ですか?」
マネージャーに心配される。撮影中もかなり考え事をしていてうわの空になっていたらしい。
「大丈夫です。ごめんなさい」
………切り替えないと!仕事は仕事!………
七瀬は何とか撮影を乗り切った。そして、モヤモヤを解消するべく明人と偶然再会した駅で何時間も明人を待った。
………理由だけでも知りたい。それを知ったらこのモヤモヤが解消されて良太と安心して結婚できるから………
2時間ほど駅前のベンチで待っていた時。明人はファミレスで一緒にいた女性(栞)と一緒に七瀬の前に現れた。
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