第4話 こんな好きな人に出会う季節二度とない

【登場人物】

高校時代の登場人物。


笹井七瀬(ななせ)…陰キャオタク。クラスの端でいつも漫画を読んでいる。何でも話せる友達は別クラスの楓のみ。



立花楓(かえで)…七瀬の親友。七瀬と同じくオタクで学校内に友達は七瀬しかいない。



山口明人(あきと)…サッカー部。クラスのモテ男。大体の女子から狙われている。



間宮花林(かりん)…クラスの陽キャ女子。学校中のイケメンを取っ替え引っ替えしてると噂。



_______________________


〜七瀬の高校時代〜


 七瀬は初めて明人と話した日から何故かよく放課後、明人と話すようになった。想像以上に明人は漫画に詳しく、好きな漫画やアニメの話で盛り上がった。七瀬は学校で楓以外の初めての友達ができた感覚だった。それに明人と話してる時は素の自分でいられた。


 そんなある日。七瀬は放課後、花林に屋上に呼び出される。屋上に行くと花林とその取り巻きたちがいた。


「アンタさ、もしかして明人のこと狙ってるの?」


「え!どうして」


「最近、放課後、二人でよく話してるって目撃情報があるのよ。」


「それは…」


「言っとくけど明人はみんなに優しいだけだから。アンタみたいな他に喋る人いないド陰キャは勘違いしちゃうかもしれないけど勘違いしない方がいいよ?アンタみたいな人、明人と釣り合うわけがないんだから!」


花林はそう言い放すと屋上から出て行った。七瀬は一人で泣き出した。泣きながら屋上の階段を降りた。すると階段降りた先に明人がいた。


「どうした?何かあった?」


「べ、別に何も」


「じゃあ泣いてるはずないじゃん。今日、教室いないからさ、何かあったのかなって思ってたら花林たちが屋上行くの見えたんだよね。その後、七瀬も屋上向かって行ったから何かあるのかなって思ってここで待ってたんだ。そしたら七瀬が泣いて降りてきた。絶対屋上で花林たちに何か言われたよね?何があった?」


「関係ないでしょ明人くんには。」


「どうして?」


「住む世界が違うから。私と明人くんじゃ。私みたいな地味な陰キャが仲良くしてちゃいけないんだよ」


「そう言われたの?」


「違う、、けど。本当のことじゃん」


「ちょっときて。」


明人はそう言って七瀬の腕を引っ張った。連れて行った所は美容院。友達が美容師をやっている美容師らしい。そこで明人は七瀬に似合う髪型を提案して切ってもらった。さらに眼鏡をコンタクトに変えるべきだと言い、眼鏡を奪った。


「ほら!七瀬って眼鏡外すとかわいいんだよ。元から可愛いけどさ。」


そう言って明人は笑う。



………やめて。そんなこと言ったら好きになっちゃうよ………


七瀬は泣き出す。七瀬の涙を明人が拭いた。


「泣くなって!今の七瀬サイコーにかわいいよ!」


「優しくしないでよ。どうせみんなに優しくしてるんでしょ?勘違いするからやめてよ!!」


七瀬はそう言い、明人から逃げ出した。


「待って、七瀬!」


明人は追いかける。七瀬は明人から逃げ出すが極度の運動音痴なため、すぐに追いつかれてしまった。


「お前、勘違いしてるよ。」


「何を勘違いしてるの?」


「俺、みんなに優しくしてるわけじゃないよ?お前にだけ特別に優しくしてる」


「何でそんなことするの?」


「好きだから以外にないだろ?」


「え?」


「優しくする理由。お前のことが好きだから以外にあるか?お前のことが好きなんだよ。この地球上の誰よりも」


「それ、瞳の中の暗殺者のコナンのセリフじゃん!」


「うん。でもお前のことが好きな気持ちは嘘じゃない」


「ほんと、に?」


「ああ!だから付き合ってください」


いきなり明人は告白して七瀬を抱きしめた。七瀬は抱きしめられてさらに泣き出す。


「どうしよう、、まさか告白されるなんて思ってなかったから。何で私なの?」


「なんでだろう。話してて一番落ち着く。後、漫画の趣味が合う」


「それだけ?」


「それで充分だろ」


明人は笑いながら七瀬をもっと強く抱きしめた。




 その日の夜。七瀬は明人に確認のラインを送った。


『私たち、付き合ってるってことでいいんだよね?』


明人からの返信は秒できた。


『付き合ってるに決まってるだろ!』



こうして七瀬と明人は付き合い始めた。



_______________________


〜現代〜


「明人に会って気持ち、戻ったりしてないよね?」


七瀬は楓にいきなりそう聞かれた。


「どうして?そんなことあるわけないじゃん」


「最近、考え事多いみたいだったからさ」


「私ね、本当に良太のこと好きなの。良太がいなかったら今の幸せな生活はなかった。ユーチューバーとして成功することもなかった。良太がいたから頑張れた。ビジネスパートナーであり、最高の彼氏。良太が頑張ってるから私も頑張らなきゃって思う。本当に大切な存在なの。だから気持ちが戻ることはあり得ないよ」


「ふ。そんなに惚気るなって!」


「あ、ごめ」


「いいよ。思ってた以上に明人のこと吹っ切れてるみたいで安心した」


「うん」


_____ピンポーン。


チャイムが鳴った。良太だった。


「七瀬!今日夜、軽くご飯行こ!」


「あ、噂するとってやつね」


楓が茶化す。


「ちょっと〜。やめてよ楓」


「今この人、惚気てました〜。良太くんのこと、惚気てました〜」


「ちょっと〜」


七瀬は顔を真っ赤にして楓を止めに入る。それを見て良太も笑っていた。


二人は夜ご飯をファミレスで食べることにして手を繋いでファミレスまで向かった。七瀬は良太と手を繋ぎながら幸せを感じていた。


………本当にお互いを高め合える存在………


「好き…」


七瀬は呟いた。良太は七瀬の呟きを聞き、すぐにキスをした。



………過去は過去。私は今が凄く幸せだ。本当に幸せだ………



 しかし、七瀬の向かったファミレスで思いのよらない人物に出会う。

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