第4話 萩ってどんなところ…

 旅のリクエストは「萩へ行こう」ずっと行ってみたかったところ。長年胸に秘めいた遠い街、そこは萩。

 高校時代、司馬遼太郎が大好きで、歴史小説を読み漁った。彼がモンゴル科を卒業しているのを知ってなんとかしてモンゴル語を学びたいと本屋を訪ねた。探しても…探し出せなくて、韓国語の初級本を買って帰った。当時はモンゴル語も韓国語も同じウラルアルタイ語族と言われていたので。同系統の言語かと手に取った。最近は少し見解が変わって来ているので確かとは言えない。

 司馬遼太郎の本の中で暴れまわる、幕末の革命家吉田松陰門下の高杉晋作が好きだった。大河「花神」で中村雅俊が演じた汗臭く生々しい生きることに輝きを放った高杉晋作、あの時代の人々。私にしては珍しく勇ましい人選。大抵、南方熊楠とかジョン万二郎とか世に逆らうことなく研究に励み一つのことを探求するタイプの方が好きなのに、幕末ともなると大村益次郎や松下村塾で世を論じた人々に思い入れ深く血が騒ぐ。そんな市井の人々の暮らしや町並みを感じて見たくて、夏みかんのなる白板塀の美しい街を歩いてみたい。歴史のある街に佇む大きな木を仰ぎたい。それが行きたい理由でした。

 そうリクエストすると早速仕事のように動き出す。当然「僕も行きたかった」と嬉しそう。ここのところ乗ってない船に乗りたいらしく出発は神戸からカーフェリーと決めてるみたい。乗船まで時間あるのでゆっくりできるよ。この『ゆっくりできるよ』はキラーフレーズなんだな。沢山詰め込まないでゆっくり旅を楽しみたい。

 神戸で降りるとそのままお昼を探して街の中に…神戸と言えば中華街じゃない?と考えることろ、路地に入って町中華を目指すらしい。私達は少食でメインに麺かご飯を一つ選ぶと後はお料理をふたつとスープ。これが基本です。旅先でお持ち帰りはできないからね。控えめに…

 予め予約を入れて席状況を聞いてから出かけるのも旦那様スタイル。これも間違いないところですね。ふたりなのでテーブルは回らないけど、コーンスープが大ドンブリでビックリ!これ食べ切れる。と思いながら美味しいお昼を頂きました。

 その後、何故か中華街へ…

 ここも驚くところ。私としてはご飯終わったのに中華街へ行くの?とまた疑問符。でも、凄い人で歩くのも大変。お店は並んでいる人いっぱい。私達はもう食べ終わってるから良いんだけど…ここで食事をするのは至難の業だなと感じてそぞろ歩く。

「ね。ここで食べるのは大変だと思う」

 そうか!だから町中華なんだね。同じ時間を生きてきて人生経験はさほど違わない筈なのに、外に出て働いている奴は想像以上に経験豊富でかなり溝を開けられたなと思いながら渋滞の街を歩く…

 ホントに万事に気が利く凄い人…

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