子猫の名前を決める[KAC20247]

@tablegood0212

第1話

 ブルーと言う雌猫がいる、自宅近くで捨てられた野良猫である。今は父のそばに居て安住の地を得ているけど、今までブルーは生きて行く為に大変な想いをしてきたのである。その苦労のせいで、餌を与える父以外には懐かないし、僕の側にも近寄ってきたりしない。


 母はブルーの事を、「野良猫と変わらないじゃない」とよく言う。


 僕はブルーが苦労猫と知っているので、「野良じゃないよ、我が家の猫だよ」、「実際に3匹の子猫を産んだじゃない」と母に伝える。


 ブルーは我が家に来て半年程で近所の雄猫の子をみごもったのである。僕はブルーのお腹が膨らむのも感じなかったし、父も面倒をみながらブルーの妊娠に気づかなかった。


 父が「ブルーが赤ちゃんを連れてきた」


 僕は「どの位の大きさ」


 「手の上に乗るくらい」と父が言う。


 「何匹?」


 「三匹」と父が答える。


 僕は「以前から我が家にいる猫と会わすと9匹になるね、これ以上は飼えないよ、避妊手術を受けさせないといけない」と父に伝えた。


 動物病院に連れて行くと、「子猫は3k以上にならないと避妊手術出来ないよ」と先生に言われる。


 ブルーだけ避妊手術を受けた。


 車の中で父は、「子猫を避妊するまでは自宅の土間で飼うことにする」、「子猫達の名前を決めないとな」と話した。


 父は「猫の名前を決めよう」


 僕は「決めたい名前ある?」


 「ホワイト」と父が答える。


 僕が「どうしてホワイトと言うの?」と父に尋ねると、


 「生まれた時の毛並みが白色だったから」と答えた。


 僕は、「猫の毛色で名前を付けるの斬新だね」と話した。


 父は「お前はどうする」と聞く。


 僕は「リリー」と答える。



 今まで我が家では沢山の猫を飼ってきた。僕が知っている初めての飼い猫の名前がリリーでした。リリーはとても優秀な猫で可愛らしかったので生まれた子猫の名前にしようと思ったのだ。母に赤ちゃん猫の名前が決まった事を伝えるとこう付け加えた。



 母は「父が名付けた猫は私が飼っていたメーちゃんにそっくり、ホワイトじゃあ可笑しいわよ」、「猫の毛色で名前を付けるものじゃないわよ」


 父に「その猫の名前はホワイトじゃなくて、メーにして」と伝えた。


 しかし、父はホワイトと呼び、母はメーと話しかける。その子猫も両親に懐いて半年後には避妊手術を受けた。ブルーは元々、飼い猫だったので3匹共、野良猫にならずに我が家の父の部屋で暮らしている。今年の冬も無事に過ごせて生まれて三年目の春を迎える。僕は父よりも長生きするとみている。やっぱり後の世話は僕がしないといけないのだろうか。僕は猫の身体を一度も触った事がない。





 

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