第17話 この男は誰なんですか⁉
いきなりの刺客に、ポカンとしてしまう俺達3人。
「え、2人知り合い?」
この女子と面識がない俺は、小声で2人に聞いてみる。
少なくとも、同年代ではないことは確定している。学年が一緒なら俺でも顔くらいは知ってるからな。
となると、水瀬か加奈の友達。
水瀬が知っているならば、3年という可能性が高い。
「ごめん、誰?」
「私も知らない」
チラリと黒髪女子の方を見ると、俺に受かって口を揃えて言う。
本当に誰なんだ……?
この中で誰も彼女の存在を知らない、しかし相手は俺達のことを認知している。
まぁ俺というより、認知されているのは美少女姉妹の方だろうけど。
ただでさえ学校で廊下を歩いているだけでヒソヒソ話をされるんだ。
こっちが知らない人が2人を知っていても何もおかしくない話だ。
「……どうするのこの状況、なんか怖くなってきたんですけど」
俺の肩を揺さぶりながら、小声で助けを求めてくる加奈であったが、
「どうしろって言うんだよ……」
助けを求めたって俺にできることなんてないぞ?
そもそも認知されているのは2人の方だし、口出したところで話をややこしくしそうだ。
「あの……私たちに何か用ですか?」
怖がる加奈を見かねた水瀬は、自分も怖がりながらもこちらを睨む女子に声を掛ける。
妹のピンチに立ち上がる姉。加奈からしたら自慢の姉なんだろうな。
「私、一年の五月雨小雨(さみだれこさめ)です。先輩方に用があって声を掛けました!」
「一年だったんだな、そりゃ知らないわけだ」
「なんか年下って聞いた瞬間、可愛く思えてきた」
俺の後ろに隠れていた加奈は、ひょこっと顔を覗かせる。
アポを取らずに後ろからいきなり先輩に声を掛けるくらいの度胸があって怖い印象があったが、確かに小柄でよく見れば可愛い。
顔も童顔で整ってるし、髪型も無難でありながらもよく似合っている。
「それで……一年生が私たちに何の用があるのかな……?」
問題はそこだ。
ここまで攻撃的なのにも理由があるはず。
加奈か水瀬が直接的ではなくても、五月雨に何か危害を加えたのかもしれない。
ほら、この2人ばっかモテて青春ができないとか現実味があってありそうな話だ。
実際、大体の男子はこの姉妹のどちらかを好きなわけだし、女子から嫉妬されるのも無理はない。
刺激しないように優しい声で聞く水瀬であったが、
「用も何も……その男は誰なんですか⁉」
グッと手を握り締めると大きく深呼吸をし、五月雨は声を張り俺の方を指さすのであった。
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