第23話 終わり

 花「それで、…貴方が思い残したことは何?」


 暫く黙っていたウチを心配そうに覗き込む戸根。


 ウチがやりたいことは…ウチは…!


 唯「友達が…欲しい!」


 ずっとずっと思っていたことを全部ぶち撒ける。


 唯「ウチだって皆と同じように遊びたかった!一緒に話したかった!普通に過ごしたかった…!なのに…なのに…!」


 もう死んでるから涙は流れない。それが更に私の心をキツく縛っているような感覚にさせる。


 花「ごめんなさい。私がもっと早く気付いていたら貴方は死ななかっただろうに…。」


 戸根がウチに抱きつく。と言ってもウチに触ることは出来ない。でもほんのり温もりを感じる。


 茅「友達…、私なんかでよければ喜んでなりますよ。」


 カヤチも一緒に抱いてくれる。


 あぁ。ウチはこれが欲しかったんだ。

 ただ遊ぶだけの友達じゃない。もっと、もっと大切なもの。


 ウチは、悩みを聞いてほしかったんだ。


 唯「ありがとう…!2人共…!ありがとう!」


 ウチの色が薄くなる。これで満足なんだ。

 だってやっと願いが叶ったんだから。

 そうしてウチは音もなく消えていった。

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最後の夏の過ごし方 @supu222

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