第2話 聖女からの受難
とりあえず臨時収入(ドラゴンの死骸)をインベントリにまるまんま放り込み
夜遅いので野営キャンプ地に聖女をそぉい!と放り込む。
見知らぬ人に襲われる心配は持ってないのか、厚かましく寝袋に入ってぐぅぐぅ寝息を立てる聖女…
…ほんま、こいつは…
俺は焚き火をしつつ、コーヒーで夜をふかす…
片手間に頭を抱えながらライフルのメンテナンスを行う…
残弾3発…魔力バッテリーセルは2個…またあのレベルのドラゴンが来たら逃げるしか無いなぁ…
どうしても戦闘向きじゃねぇ俺のスキルを若干恨みつつ、森に香辛料を確保する金策するかと計画を立てる。
マッピングと鑑定眼で群生地見つけて、日銭を稼ぐって寸法よ!
ダイジョーブ!!ある程度は稼げる!!弾丸の補充!?無理に決まってるだろバーカ!!
…恨むぞ…ったく
昼過ぎに寝坊助聖女を村のギルドに案内し、ドラゴンを精算する。
金貨30枚…か
妥当な金額だが、弾丸の分を差し引くとかなりのマイナス…
そして
聖女「もっちゃもっちゃ(咀嚼音)…あ!これも追加で!!食べないんですか?おいしーですよ!!」
現在進行系で増えたはずの財布の中身が減っていく現状に呆れ果てていた。
俺「お前なぁ…遠慮ってモンはねぇのかよ!!」
聖女「三日三晩食べてませんでしたので!!女神の奇跡で先延ばしにした分も食べないといけないんですぅ!!…あ!おかわり!!お代はこの人からお願いします!!」
遠慮など知らぬぅ!!と言わんばかりにおかわりとツケを要求する聖女。
一回の注文で銀貨(≒1000円)が数枚単位で飛んでいく…助けた分丸々損に繋がってないかぁ!?
にしてもお代わり10回目を越したあたりから数えてねぇけど食べ過ぎだわ!!
思いっきり重い溜息を吐きつつ聖女に問いかける。
俺「…追放された聖女ってお前のことか?」
聖女「…あれ?もう噂になってるんですか?そうです私ですよー」
楽観的か…こいつ…?
聖女はごくんと食べ物を飲み込むと両手にチキンを持った状態でマシンガンの如く喋りだしやがった…
聖女「いやぁ…鈍臭いとはよく言われていたんですけどねぇ…治療の奇跡があまり上手じゃなくて敬遠されてたりしたわけなんですけど!あ、苦手じゃないんですよ?全治療の奇跡しか使えないだけで!!…でもやっぱり攻撃の奇跡が一番得意だったんです!だから魔物退治はよく頑張ってたんですけど、ロクに奇跡が使えない聖女が増えてきたので上申したらなんだか怒られちゃって、もっと愛想よくしろって説教もされちゃって……そんなのおかしいじゃないですか!!奇跡が使えない聖女が増えてるねーって市井の人にお喋りしていたら王国から貴様は聖女ではないってお達しですよ!?…こんなに熱心にやってきていたのに追放なんて酷いじゃないですか!?」
いや、聞いてないとこまで喋るな。聞いたら巻き込まれるヤツだろぉ!?と思われていても関係なしにマシンガン…うへぇ…
俺「はぁー…んじゃお前は無能故に追放された訳じゃないんだな?」
聖女「もちろんですよ!!まぁ追放される代わりに…」
あー…聖女追放モノってのは結界がちょうど切れるとか、保護が無くなって王国が大変な事になるってのが、オーソドックスな流れ、だが…
聖女「むこう500年は聖女の仕事が無いように、魔物よけの大結界と大病封じの結界を1週間かけてやってきましたからねぇ…うへへへへ、仕事なんて無くなってしまえ。聖女としてタダの偶像(アイドル)やっていればいいんですよ!!…あ!勿論作った結界の補修方法とかは書籍に記して司教様に手渡して来たのでモーマンタイです(むふー!」
なんだ、こいつ有能すぎるだろ…
わっるい顔してやってることは善性すぎんのよ…
聖女「…ここまで聞いちゃったんですし、ツケもありますので逃しませんよ?」
いきなり鋭い眼光でこっちを見るな!!
とんだ厄ネタが飛んできたモンだ…
俺「…どうやって借金返済をするつもりなんだ?」
俺は当たり前の疑問を口にする。
聖女「冒険者になります!!いやぁ実は憧れてたんですよねぇ!!…ま、次はあのドラゴン消し飛ばしてやりますから!!」
物騒がすぎるぞ!?
俺「ちょっとまて、あのレベルのドラゴンと戦えるっていうのか!?」
俺、驚愕
聖女「勿論です!!…いやぁあの時は魔力が切れてまして不肖逃げるしか出来なかったんですよねぇ…ゴブリン程度なら杖で殴り飛ばせたんですが…」
まじかよ…この聖女…脳筋すぎる
ん…消し飛ばす…?
俺「もしかして。消し飛ばすって」
聖女「えぇ!!消し飛ばすんです!!跡形もなく!!」
おれ、頭 抱える。
魔物の素材はお金になる。それを一切合切消し飛ばすとなると…
お金の問題もそうだが、あのレベル帯のドラゴンを消し飛ばせる時点で火力が凄いコトだってーの
あの幼馴染剣士(レベル7)の最高攻撃力でも消し飛ばすのは無理だぞ…!?
俺「…とりあえず。冒険者登録はあっちのカウンターでやってこい…」
聖女「あいあいさー!!」
とんだ厄ネタが降ってきたモンだと改めて意識に刻む…
カウンターで手続きをしてる間に逃げ出そうと目論むが
聖女「ジー」
気配遮断、忍び歩きなどの忍者スキルを駆使してても席を立とうとするだけで威圧してくるのはやめなさい。
レベル10とはいえ、生物災害レベルのあーたから睨まれたらひとたまりもないっての…
なくなく席で待機する。
聖女「おまたせしまっしたー!!…改めて自己紹介を!!レベル3の聖女です!!攻撃の奇跡でレベル5のドラゴンを消し飛ばすコトが得意です!!ゴブリン程度なら杖でえいっ!って出来ます!!…パーティーになってくれますよねぇ…うるうる」
無言の圧をかけてくんな。
こちとらパンピーみたいなモンだぞ…ツレぇよなぁ…
なんつーか、蛇に睨まれた蛙のようだわ…
溜息一つしてから俺も自己紹介
俺「…レベル10のバックパッカー、サブはマッパー。初期スキルは全職業分取得済…レベル2~3程度ぐらいの戦闘力しかねぇ…戦闘向きじゃねぇから…」
そんな俺の声を遮って聖女が叫ぶ
聖女「まさか貴方が!?前人未到レベル10のバックパッカーさん!!いやぁ会えて嬉しいです!!今まで最高レベルが8レベルだったのにレベル10に到達したって聞いた時は心が踊りましたよー!!…ではこれからダンジョンアタック!!頼みましたよ!!リーダー!!」
ぐいぐいくーるー
なんでやねん!!嫌われてパーティーに居場所がねぇのもツレぇがここまでグイグイくるのもツレぇ!!
いや、ギルドマスター!?諦めろって言わんばかりにこっちをみて首を横に振らないで頂けますかぁ!?
…もうどうにでも、なーれっ!!
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