【実話】就活の選考中に、女子の前でセックス宣言してしまった話。

あおたか

【実話】就活の選考中に、女子の前でセックス宣言してしまった話。

「失言」というものを、うっかりしてしまったことはあるだろうか。


話をしているうちに頭に来て、思わずキツいことを言ってしまった、ということくらいなら、誰しも経験があるかもしれない。


ここでの「失言」とはそうしたものとは違い、普通は人前で発しないような卑猥な言葉を、意図せず発してしまうことを指す。


常日頃から、言葉選びには気をつけているつもり…そう思っている自分にも、実は一度だけ、「失言」をしてしまった黒歴史がある。




あれは、まだ大学生だった頃のこと。


当時は、就活のいわゆる準備段階のような時期で、企業の説明会やらインターンシップやらに、足繁く参加していた。


お金や時間もかかる上に、周りの就活生との差に心を折られる、準備段階なのにもかかわらず、地獄のような毎日。


そんな中、唯一の楽しみだったのが、同年代の女子の、スーツ姿が見られること。


決してフェチという訳ではないが、真面目な女子がタイプだったため、着ている誰もがそんな風に見える、スーツ姿が好きだった。


…というのは、まだ人に話せるレベルの理由で、女子のスーツ姿を見られるのが楽しみな本当の理由は、単に「エッチだった」から。


特に、下がスカートではなくパンツスーツだと、お尻の形やサイズ感が分かってしまうのが、いやらしくて堪らなかった。


しかし、こうしたよこしまな感情が、後に思わぬ失言を引き起こしてしまう。




その日は、とある企業のインターンシップに参加しているところだった。


内容のうちメインだったのは、実際の選考でもド定番の、グループワーク。


人数は1グループにつき大体5〜6人、自分が配置されたグループは、他に男子が3人/女子が1人という構成だった。


幸運なことに、このたった1人の女子というのが中々に可愛く、明るい性格で接しやすかったため、話しているうちに好感を持つようになる。


そして何より惹かれたのが、パンツスーツ越しながら確かな存在感を示している、豊満かつ形の良いお尻。


どっしりとしていながら、それでいて弾力のありそうな、目にしたオスの性欲を掻き立てる、メスが持つ強力な武器。


体型も、見た目には太っているように見えない分、余計にお尻が際立つようになっていた。


他の男子や、企業の採用担当である男性社員も、同じようなことを思っていたに違いない。


もし自分が採用担当なら、あんなものを見せつけられれば、それだけで即採用だろう…などと、頭の片隅で変な妄想をしていた。




それでも、あくまで選考の一部分であることを意識し、真面目に取り組んでたのもあり、グループワークはかなり順調に進んだ。


また、自分の方が学歴が上だったためか、彼女も含めた他のメンバー全員が自分を立ててくれたのも、大きかったかもしれない。


休憩時間にはお互いにプライベートの話をし、LINEの交換をするほどまでに仲良くなった。


採用担当にはアピールできた上に、彼女との距離も縮められ、まさに至れり尽くせりな時間。


ただ、今にして思うと、色々なことが珍しく上手くいったことで、油断していたのだろう。




そうして迎えたグループワークの後半、昼食を挟んだことで、頭が回らなくなる時間帯。


詳しいことまでは覚えていないが、「理想の町」的な何かを考えるのが、テーマだったような気がする。


前半で味を占めてしまったことで、もはや他のメンバーの発言もまともに聞いておらず、言いたいことだけを確実に言うようにしていた。


このまま無難に終わらせれば問題ない…というところで、ついに「その時」が訪れる。


話の流れで、「子育てにも良いよね」と、発言しようとした、まさにその瞬間。


「子作りにも良いよね」


口から飛び出したのは、似ているようで全く違う、卑猥と捉えられるものだった。


失言してしまったことに瞬時に気づき、どのようにリカバリーするか、懸命に思考を巡らせること、0.001秒。


結局、本来の意味だと的外れなワードではなかったことや、動揺しない方が良いと思ったことから、咄嗟に気づかなかったフリをする。


もっとも、その瞬間だけとは言え、場の空気が澱んだのは間違いなく、それ以降はひしひしと居心地の悪さを感じた。


他の男子や、採用担当はまだしも、女子の前での「子作り」という発言。


もちろん、卑猥なことを意識していた訳では決してなかったが、どこか頭の片隅にでも、彼女のお尻から感じるものがあったのか。


仮に釈明したとしても、「(彼女のお尻を見て)そんなことを考えていたんだな」と、誰しもが思うに違いない。


内心では動揺しきっていたため、その後は彼女を直視できなかったが、顔に出す/出さないはともかく、さぞ不快な表情が芽生えただろう。




実際には、この失言による影響はほとんどなく、その後のグループワークも、まるで何事も無かったかのように終わった。


しかし、数ヶ月後に行われた選考の際、偶然にも彼女が自分の前に面接を受けていたらしく、部屋から出てきたところで遭遇してしまう。


声を掛けようかと悩むよりも先に、彼女はこちらの存在に気づくや否や、関わりたくないと言わんばかりに、足早に去っていってしまった。


あくまで就活中だったから、あるいは、久しぶり過ぎて接し方が分からなかったからというのが、妥当なところだろう。


それでも、やはり「あの失言のせいかもしれない」という考えが頭をぎるくらい、自分の中ではあの失言を、黒歴史だと思っている。



(おわり)



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【実話】就活の選考中に、女子の前でセックス宣言してしまった話。 あおたか @aotakanovels

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画