色気のある男性を求めて

榊琉那@屋根の上の猫部

色気のある男性は好きですか?

「ねぇねぇ、○○君のダンス観た?メチャカッコよくない?」

休憩時間にミチコが声をかけてくる。しかしながらマキには興味の無い事だ。

「ダメよ。マキは売れ専には興味ないみたいだし。色気のある男が好きって、

変わり者だしさ」

「変わり者は酷いでしょ?実際、好きだからイイじゃん」

確かにマキは、今時の人が好きそうな旧〇ャニーズ系の人達には興味がわかない。

それだけでも充分に臍曲がりの部類に入るが、好みのタイプが

『男の色気を感じさせる人』いうのがまた変わっている。


きっかけは些細な事。たまたま見た「あぶない刑事」。

主演の柴田恭兵さんと舘ひろしさん。それがカッコよく思えたのだった。

その後に検索してたまたま見つけた柴田恭兵さんが歌う「ランニングショット」。

そして舘ひろしさんが歌う「泣かないで」。これが何故かツボにハマった。

上手く言葉に出来ないけれど、セクシーさというか、男の色気を感じた。

勿論、同世代の男には出せないだろうし、周りの年上の人を見ても

そんなオーラのような魅力を持っている人はいない。

マキは、そんな身近にはいない、テレビの向こうにしか存在しないような

魅力ある男性たちを探すようになっていったのだった。


「ちょっとでいいからさぁ、〇〇君のダンス、一緒に見よ♡」

仕方なく、ミチコのスマホで映像を見てみる。

確かに顔立ちは整っているし、素人の自分が見てもキレのいいダンスは

なかなかだと感じた。でも、それだけ。マキの心を動かすまでには至らなかった。

「ゴメン、やっぱり好みとは合わないや」

「う~ん、どうしてわからないかなぁ」

やっぱり自分の好みはおかしいのだろうか?マキは自問自答する。

(いや、自分はおかしくない。多分……)

そう思いながらもマキは、ちょっと自信を失った感じだ。


「やっぱり、自分の好みっておかしいのかなぁ?」

マキはミチコに尋ねてみる。

「おかしいとは言わないけど、同世代としては変わっているでしょうね。

大体、色気があるっていうのがよくわからないけど」

「じゃあ、一緒に見て判断してよ」

今度はマキがスマホを取り出してみる。

Youtubeの履歴から、よく見ている動画を一緒に見る事にした。


「じゃあ、これからね」

まず選んだのは、沢田研二さんの「サムライ」

「やっぱ、ジュリーは基本中の基本でしょ」

もうかなり古い曲になるのだが、衣装と歌っている時の表情がいいという。

もちろんこの頃は甘い声は健在。歌も上手いし、これぞスターって感じかな。

https://www.youtube.com/watch?v=zX9xMut0ce0


続いてはCHARの「SMORKY」。

一時期、CHARはアイドルのような売り方をされた事があったが、

それに反発してか、ジョニー、ルイス&チャーを結成して

日本ロック最強とも言われるようになった。

年を取るにつれ、頭髪は少々寂しくなって帽子は欠かせなくなったが、

渋さは増したとも思える。やはりギターはピカイチだ。

「やっぱりCHARのギターを弾く姿って素敵よね」

https://www.youtube.com/watch?v=7gECpFLF0R4


そして白竜の「誰の為でもない」。

白竜は自分と同名の役名でのヤクザの演技の印象が強いのだが、

シンガーとしての実力もなかなかのものだ。

サングラスが良く似合い、渋い声に魅了される。

「歌手としての白竜も評価してほしいのになぁ」

https://www.youtube.com/watch?v=_B7qPBG2peM



「………、ゴメン。おっさんには興味湧かないわ」

ミチコの返事はつれないものだった。

まぁそれはしょうがない事でもあったのは確かだ。

カッコいい若者が好きな人に、おじさんの渋さを説いたとしても

そうそう理解してもらえるのではないと、マキはわかっていた。


「う~ん、流石に理解してくれる人はいないよね?」

「もしかしたら、変わり者の後輩君ならわかるかもしれないね?」

「そんな人、いるの?」

「講義で知り合ったケンイチ君っていうんだけど、なかなか真面目な子でね、

よくノート貸してもらってる。音楽を聴くのが好きだけど、

自分の聴く音楽は誰もわかってもらえないからって言ってたなぁ」

「紹介して」

「アンタ、やっぱり変わり者だね」

やっぱりミチコには呆れられた。これが性分だから仕方ないんだけどね。



暫くしてから、ミチコから連絡があった。

「連絡ついたよ。明日の講義が終わったら時間作ってくれるって。

ちょっと変わった子だけど、ちゃんと相手してやってね」

「勿論。話聞いてくれるだけでも嬉しいし。」

これがマキの本音だったが、心の奥底では、

(あんまり変わり者過ぎて気持ち悪い人だったらどうしよう)

と思っていたりもした。実に失礼である。

そして日が変わり、ケンイチ君との対面が待っていた。


とりあえず・・・(Rockn' Roll)

https://kakuyomu.jp/works/16818093073937575774

へと続きます。よかったらこちらも目を通してもらえればと。



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