第30話 決着に向けて
正暦1011年10月11日 ノルデニア半島南西部 港湾都市フレベルグ
「先程、首都カペンブルグにて、連合軍はラティニア共和国ナロウズ州の主都プレシーに対して攻撃を行う事が決定された」
フレベルグにある王国軍基地にて、わざわざ馳せ参じたミッターマイヤー元帥は、ブリティシアより舞い戻ったフェンリル隊や、新編された王国陸軍の特殊部隊、そして海軍第1艦隊の司令部幕僚が会議室に集っていた。
「皆も知っての通り、プレシーはラティニア共和国のナロウズ西部を植民地支配するための一大拠点だ。これの軍事拠点を破壊する事で動揺を誘い、講和へ導く予定だ」
ナロウズ大陸の三分の一を支配するラティニアの海外州は、プレシーにナロウズ海外州で生産される全ての富が集められているという。広大な国土と各所の産業は、プレシーより数千万の人民を支配するラティニア人のためにある様なものであり、そして当のラティニア人の大半は搾取される側の苦痛を全く理解しようとしていなかった。
「現在我が国の内部では、スラビアより供与された地対空ミサイルシステムが稼働し、ラティニアの弾道弾攻撃を防いでくれている。ロードス連合も連盟での総会で多国籍軍を編制し、ラティニアに対して武力制裁を実施すると決議した。ラティニアは自国の利益を最優先としたが故に、より多くの損害を背負う事となるだろう」
・・・
ラティニア共和国首都ロマノポリス
「執政官、ナロウズ方面の戦局は非常に芳しくありません。このままでは我が国は完全なる敗北を喫してしまいます」
グラムスの説明に、ベルダンは青ざめた表情を向ける。この時点で共和国軍は陸海空合計で10万以上の戦死者を出しており、軍事費の負担も無視できなくなっていた。装備の再生産と部隊の補充も、民需の供給に支障をきたす程のものとなりつつあり、国内では専ら反戦運動が海外州を起点に湧き上がってきている。
「ええい、このままでは異端どもから
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