VII. 黄金の聖騎士
黄色い髪・はぐれオーガのバルガスは、他人を傷付ける自分の怪力が嫌いだった。他のオーガのようにヒューマンたちを傷付けるようなことはせず、森の中で平和に暮らしていたバルガス。
しかし、バルガスが反撃してこないことをいいことに、憂晴らしにイジメにやってくる近くの村の村人たち。毎日のように棒で殴られ、子どもたちすらバルガスに石を投げつけた。
それでも、バルガスは反撃をしなかった。下手に反撃をしてしまえば、ヒューマンたちはちょっとした怪我では済まないからだ。
村人たちからのイジメに耐える毎日。
そんな時に出会ったのがユウヤだった。
バルガスの優しさに気付いたユウヤは、彼を仲間へ誘う。
その誘いを受けたバルガスは、ユウヤと共に村人たちの目を避けるように旅立ったのだ。
そんなバルガスは、今その村の近くまで来ている。
ユウヤの勧めで、戦の神の試練に挑むことになったのだ。
村の近くの岩山に登り、戦の神の試練場へ。
試練という名の鍛錬が始まった。
「その怪力は相手を傷付けるだけでなく、誰かを守るためにも使える」
自分の怪力が嫌いなバルガスは、そんな戦の神の言葉がうまく理解できなかった。
厳しい鍛錬が続く中、ある日大きな地震が起こった。
岩山からの落石で村が被害を受けたことを知り、試練を切り上げて村へ急ぐバルガス。
そこには巨大な岩に潰された村長の家があった。
村長がまだ中に残されているが、これでは救出することができない。
自分を率先して棒で殴りつけてきた村長。
許せない気持ちはもちろんあった。
それでもバルガスは、巨大な岩を掴んだ。
目の前の困っている人を見捨てることなどできなかった。
「ぬおぉぉぉぉぉ!」
その怪力で巨大な岩を持ち上げたバルガス。
それによって家具の隙間に挟まっていた村長は、村人たちの手によって無事救出することができた。
自分の力の正しい使い方を学んだバルガス。
この行動を見た戦の神は、清廉な心を持つバルガスに「
これまでのイジメを謝罪した村人たちは、村で一緒に暮らすことを提案したが、バルガスはユウヤとの旅を続けることを選択し、また旅立っていった。
村人たちは、いつでもバルガスが戻ってこれるように、森の中の彼の家を常に綺麗に保ちながら、心優しき大鬼と愚かな村人の話を語り継いでいった。
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