IV. 虹頭の仲間たち

「信頼できる仲間を集めよう」


 ユウヤの一言で、邪竜調査のための仲間集めが始まった。

 旅の先々で人々の困り事を解決しながら、仲間を探し続ける私たち。

 しかし、邪竜の名前を出すと勇者と呼ばれていた者さえ尻込みした。


 そして集まったのは、はぐれ者ばかりだった。


 漆黒の髪・異世界から来た普通のヒューマン・ユウヤ。

 赤い髪・鉱山の街で蔑まれていた片腕のドワーフ・ダノ。

 黄色い髪・村人たちからイジメられていたはぐれオーガ・バルガス。

 緑色の髪・風の魔法が使えずに里を追放されたエルフ・リリィ。

 青い髪・人魚姫に癒やしの力を奪われたマーマン・トラーラ。

 桃色の髪・羽根を失い飛べなくなったフェアリー・ピッチュ。

 そして私、紫色の髪・ヒューマンの奴隷だった魔族・ギィゼ。


 全員が異種族。

 そのすべてがヒューマンからの差別の対象となる種族だった。


「また頭の派手な連中が来たぜ!」

「冒険者ギルドは、お前らの来るところじゃねぇんだよ!」

「お前ら、何か臭ぇなぁ〜」


 街のひとたちも、冒険者たちも、私たちを指差し大笑いした。に何ができる、と。

 私たちは『虹頭にじあたま』と呼ばれ、特に王都では嘲笑の的となっていた。


 悔しさと怒りで私たちの顔が歪む。

 それでもユウヤは笑顔を忘れなかった。


虹頭にじあたま? 結構なことじゃないか。虹っていうのは、オレの生まれた世界では『希望』や『結束』、そして『幸福』や『幸運』の象徴でもある。虹頭にじあたまのオレたちの心からそんな灯火ともしびを絶やさないようにしよう」


 そんな言葉に全員が笑顔になった。

 そして、ユウヤはこうも言った。


「オレたちが活躍すれば、色んな種族への差別意識も無くなっていく。ヒューマンがオレたちを差別しない世界を見たくないか? いいか、オレたち自身がそれぞれの種族の希望の虹になるんだ!」


 すごいな、ユウヤは。私たちのことを、そして未来を考えながら行動してくれている。全員がそれを理解し、ユウヤについていくことを心に誓う。


 私たちは、周囲から侮蔑の視線と嘲笑を浴びながらも結束を強め、邪竜調査の旅を続けていった。



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