第8話 エッチなお姉さんとエッチなお姉さんのお姉さん
「では何か質問はありますか?」
「はい! エッチーナさん! エッチーナさんはなんで今回のようなヘマをやらかしたんですか! あと! 今さら賢そうに振舞ってもムダなので、やめて頂けますか!」
俺の煽りにエッチなお姉さんが「ぐぬぬ」と顔を赤くする。今さらエッチなお姉さんがどれだけ賢そうに振る舞おうと、知力が50しかないことを知ってしまった。(※アースクールの人間の知力平均は100)
エッチなお姉さんの元のステータスは、知力以外は全て
それが俺に力を譲渡したことでほとんどの力が10になり、魅力も9万まで下がっていた。下がって9万とはどういうことかと思うが、確かにエッチなお姉さんは魅力的なので良しとしよう。
それよりも問題にすべきは知力である。(※コロクサの説明では、知力は最高値でも500を超えない。世にいう天才でも300ほどで、最高値の500は今のところ存在しない。ちなみに俺の知力は120だった)
「もう! だから私のことはティーナって呼んでよ! 親しい人はみんなティーナって呼ぶし!」
「分かりましたティーナさん! ではティーナさんの知力が50だと言うのはどういうことでしょうか! そんなんで女神の仕事が務まるのでしょうか! ちょっとこの子はアホなのかなぁ? と思っていましたが! やはりアホなのでしょうか!」
「ぐぬぬ! し、仕方ないじゃない! 私が女神の仕事を引き継いだのは二日前なの! それまではお姉ちゃんが女神様してたんだけど……急に『あなたがやってぇ。私は引退して酒池肉林するわぁ』ってどっか行っちゃったの!」
「すみませんが論点をずらさずにお答え下さい! この世界の知力平均が100なのにも関わらず、ティーナさんの知力が50である理由を聞いているんです!」
「うぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ! 頑張ってるもん! 昔からバカだバカだって言われてきたけど頑張ってるのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
エッチなお姉さん──もといティーナが泣き出してしまった。だが俺はティーナを許すことは出来ない。なぜならこのエッチな格好のアホ女神のせいで、俺は元の世界に帰れなくなってしまったのだ。
「泣くんじゃない! 泣きたいのはこっちなんだ! ティーナが力を全譲渡したせいで帰れなくなったんじゃないか!」
「だって! お姉ちゃんが言ってたんだもん! 『力の譲渡はキスするのよぉ』って! だから恥ずかしいけどキスしたのに!」
「あぁん? 恥ずかしいだぁ? めっちゃエロいキスしたじゃないか! なんか歴戦の猛者みたいにすんごいのしたじゃないか! あんなの初めてだったんだからね!」
「だ、だから女神様らしく頑張ったの! お姉ちゃんが『女神がしっかりリードしなきゃダメよぉ? 絡み付いてぇ……ねちっこく……ね?』って! お姉ちゃんが悪いんだもん!」
「
『その通りですマスター。私にダウンロードされたデータによればそうなっています。それとある程度女神の役に立てば、契約を解除して元の世界に戻すことも出来ると。ですが契約解除で元の世界に戻すには、かなり魔力を使います。魔力が
「だってよティーナァァ? 『殺すしかない』とか騒いでませんでしたっけぇぇ? 何か言うことはありませんかぁぁぁ?」
「ご、ごめんなさ……ぃ……」
「あぁん? 聞こえませんねぇぇ? 本当に反省しているんですかぁ? 反省している人がそんなエッチな格好なんですかぁぁぁ? なんで謝りながらパンツ見せてるんですかぁぁぁ?」
「ご、ごめ……ごめんなさいぃぃぃぃぃっ! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
泣きじゃくるティーナの声に混じり、コロクサの『さすがマスター。仕事以外はクズですね』という軽蔑の声が聞こえた。
とまあ、そんな理由でティーナを泣かせているわけですが、みなさんも疑問に思いませんでしたか? この世界にプロレス技があることを。実はこのプロレス技は、過去にアースクールへとやってきた「虎仮面」が伝えた技なのだ。
つまり先程コロクサが言ったように、ティーナが力の譲渡の方法を間違えなければ、俺は帰れたはずだったことになる。
「……ふぅ。まあとりあえず、こうなってしまったのは仕方ない。今後どうするかをしっかり話し合わないとな。それに俺のエンチャントでティーナの魔力を
『そうなりますが、それにはマスターの職業レベルを上げなければなりません。現状、何年かかって
「まじかよ……え? もしかしておじいちゃんになってからの可能性もあるのか?」
『大丈夫ですよマスター。マスターは女神の力を全譲渡され、老いや寿命から解き放たれました。時間でしたらたっぷりとあります』
「なんてこった……俺はもはや人間じゃないのか……?」
こうなってしまったからには受け入れなければならないのだとは分かっている。分かってはいるが、あまりにも色々と起きすぎて、頭の整理が追いつかない。これはどうしたものかとティーナに視線をやると──
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん」と泣き声を上げ、真顔でこちらの様子を伺っているティーナと目が合った。
仕方がないのでとりあえず俺は、そんな嘘泣きをする女神様に──
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