第6話 エッチなお姉さんとデッド・オア・アライブ
「じゃあ行ってくるね! すぐに倒して来るから!」
そう言って
ん? 役に立たないんだとしても、女性一人に戦わせるなんてクズだって?
いやいやだって──
「グルァァァァァァァァァァァァッ!!」
そう、魔物の群れの叫びだ。エッチなお姉さんを見送る際にちらっと見えたのだが、身の丈3メートルはある緑色の鬼のような怪物の集団が、こちらに向かって走って来ていたのだ。
別にびびった訳じゃないぞ? さっきも言ったが俺は美容師。裏方の人間なんだ。とりあえず俺はセット面に座り、エッチなお姉さんの飲みかけのハーブティーを飲んだ。
「ふぅ──落ち着きますなぁ。さすが俺の厳選したハーブティーですなぁ」
『あなたは戦わないんですか?』
ハーブティーを飲んで落ち着いていると、坊主社製のスピーカーからコロクサの声がした。
「う、うわっ! 呼ばなくても喋れるんだ!?」
『私にも人格はありますから、普通に話しますよ。それよりあなたは戦わないんですか?』
「し、仕方ないだろ? ただの美容師があんな化け物なんかと戦えないって。それより『あなた』ってなんか他人行儀じゃないか?」
『まだ呼び方を決めていませんでしたからね。なんとお呼びしましょうか? 普通に本名の
「そうだなぁ……どうせなら『マスター』にしよう! なんか異世界っぽいだろ?」
『かしこまりましたマスター。それでもう一度聞きますが、マスターは戦わないんですか? 戦えますよね?』
「んぐ……な、なんのことかなぁ?」
『セット面の鏡にマスターの状態を表示しているのが見えますよね?』
そう、とりあえずハーブティーを飲んで落ち着いていたのだが、目の前の鏡に俺の状態が表示されていたのだ。
『マスターは職業を二つ手に入れています。サポート職の美容師(カラーリスト)と、前衛職の──』
そこまでコロクサが言ったところで、ズガンッ! と、
「な、なんだぁ?」
『どうやらオーガが吹き飛ばされて、
コロクサがそう言うと、外の様子が目の前の鏡に映し出された。そこには30匹はいるだろうか? 緑色の鬼──オーガに囲まれたエッチなお姉さんの姿。
身長差は2倍くらいある。少し力が戻ったと言っていたが、さすがにこれはピンチなのではないだろうか。このままではエッチなお姉さんがオーガ達にエッチなことをされてしまうのではないだろうか。俺がそう思ったところで──
「邪魔ぁぁ……なんだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
エッチなお姉さんが目の前のオーガに燃え盛る拳で正拳突き。凄まじい速度で吹き飛ぶオーガ。見間違えでなければ、オーガの腹に風穴が空いていた気がするが──
そのままエッチなお姉さんはくるりと回って背後にいたオーガに回し蹴りを決める。首が変な方向に捻れ、一撃で昇天するオーガ。
これに恐れをなしたのか、オーガの群れがエッチなお姉さんから距離をとるが……
「逃がさないんだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
逃げた1匹のオーガに向かって駆け出し、燃え盛るフランケンシュタイナーをかまして地面へと叩きつけ──
そのまま倒れたオーガに
「フランケンシュタイナー式
説明しよう。フランケンシュタイナー式
これにはオーガもたまらず地面をタップするが、エッチなお姉さんは手を緩めない。オーガの腕がエッチなお姉さんの胸の間に挟まれ、めしめしと嫌な音を立てている。オーガの顔にはエッチなお姉さんのお尻も押し付けられていて──
「う、うらやま……けしからん!」と、思わず叫んでしまう。
「って、おいおい……流石にちょっと強すぎやしませんか? これで戻った力は
『あれはマスターの力ですよ? 女神様は力が戻ったと思っているようですが──』
コロクサが話している途中で、凄まじいオーガの悲鳴が聞こえてきた。鏡に映し出された映像には、オーガの
「まてまてまて! ちょっと刺激的すぎやしませんか!? え?
『ここはそういう世界です。
「ああ異世界舐めてた……なんだか前半戦の印象がエロとパンツしかなかったから完全に舐めてた……ほら見ろよコロクサ。エッチなお姉さんが手に持ったオーガの腕で……」
『モザイク処理をしましょうか?』
「た、頼む……」
『了解しました。確かに少し刺激的過ぎますからね』
そうしてエッチなお姉さんの股間に、モザイク処理が施された。
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