31話 準決勝 堺出商業高校②

 2回表の攻撃。

 7番の山井先輩がファーストゴロに倒れる。

 続く8番の吉岡先輩と9番の白田先輩の2年生コンビが連打で出塁。


 そして1番の野田先輩が、スリーボール、ワンストライクからの5球目。

 ど真ん中に入ってきたスライダーを完璧に捉えて3ランホームランを放った。


「監督の積極的な采配が当たってるね」


「いつもなら白田先輩の打席はランナーがいたらバントが多いからな。この前ミーティングで言ってた流れを渡さない展開を作れてるし」


「監督が笑顔すぎて怖いけどね」


「それな。でも展開がいいとベンチも自然と明るくなって良いよね!」


 声を出しながらも度々会話をしていた。


 その後はランナーを出すも得点には結び付かなかった。


 2回裏の守備。

 先頭の5番にヒットを許した。

 6番、7番共に進塁打で2つのアウトを取って、2アウトランナー3塁まで進まれたが、8番をライトフライに打ち取り無失点で切り抜けた。


 3回表の攻撃は、相手ピッチャーの荒川が調子を取り戻し三者凡退に抑えられてしまった。


 3回裏の守備。

 9番をショートフライに打ち取り、前の回からからテンポよく投げていたが、1番から4番まで4連打を浴びて2点を失った。

 後続を断ち切りこの回はなんとか2失点に止めた。


「取っては取られての安心できない展開だな」


「お互いの先発が悪いというよりも、両チームのバッターが良い当たりをしてるからね。打撃陣の調子が良いんだろうね」


「そうかもな。あれ?龍樹はブルペン行かなくて良いのか?」


「次ピンチになった時は赤座先輩と交代するみたいだ。決勝は先発する予定だから3回くらいを目安に投げるってさ。俺が出るのは終盤になりそうだからもう少ししたらブルペンでキャッチボールしてくるわ。走一郎も代走あるかもしれないから準備しとけよ」


「そうだったのか。俺も動けるようにしとくわ」


 4回表の攻撃。

 吉岡先輩がヒットで出塁する。

 次の白田先輩は今回の打席は送りバント。きっちりと決めて1アウトランナー2塁。


 そして先ほどホームランを放った野田先輩に打席が回る。

 初球のストレート。フルスイングでボールを捉えるとこの打球も伸びていきバックスクリーンに吸い込まれた。


 これはベンチも大興奮。野田先輩と全員ハイタッチした。

 野田先輩は高校で8本しかホームランを打ったことがなかったらしいのだが、今日2本ホームランを打てて、通算2桁いけるとは思わなかったと自身も興奮しながら語っていた。


 こちらのベンチが盛り上がっているなか、前の回からブルペンで準備をしていた山本さんがマウンドへ上がっていた。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る