23話 初戦 美木高校

 日曜日に開会式を終えて、いよいよ選手権香川大会の初戦の朝を迎えた。


「今日応援行くからね!」


「俺も仕事じゃなければ行けたんだけどな。応援行けなくてすまない」


「平日だし仕方ないでしょ。それに次の3回戦は日曜だから来れるって言ってたじゃん。出番あるか分からないけど頑張ってくる。それじゃあ行ってきます!」


 父さんと母さんは出来る限り都合をつけて応援に駆けつけようとしてくれる。俺も期待に応えられるように出番があったら良いところを見せたいと思った。


 試合会場は学校と同じ市内で全て行う組み合わせだった。ただし今日は第1試合で学校も午前授業があるので吹奏楽部とチアリーディング部以外は来ていない。

 10時試合開始予定なので朝早くからウォーミングアップをしっかりと行った。午前中でもかなり暑い。こまめな水分補給と塩分チャージをして試合へ臨む準備は整った。


 先攻で試合が始まる。相手投手は130kmに満たないストレートとスライダー、カーブを投げる。赤座先輩や龍樹の球を見慣れた俺達からすると打ち頃の球だろう。


「初回からガンガン振ってて良いぞ。初戦でできるだけベンチメンバーも出したいと思ってるからレギュラー陣は早めに点を取ってくれよ! ベンチメンバーもしっかりと準備しておいてくれ!」


 監督から指示があった通りレギュラー陣はフルスイングで打ちにいく。

 初回から4点を奪った。先発の赤座先輩も3者連続三振と調子が良い。

 その後も3回までに10得点、赤座先輩もノーヒットでキャッチャー以外のレギュラー陣は総入れ替えした。

 監督の予定通り、次の試合先発予定の白田先輩と控えキャッチャー以外は全員試合に出た。

 皆フルスイングをしている中で俺はセーフティバントでヒットした。セコいと思われるかもしれないが自分のできることをやって結果を残していくしかない。

 その後盗塁を1つ決めた。

 試合は5回まで進み14-0でコールド勝ちした。

 投手陣は赤座先輩→龍樹→武藤先輩でノーヒットリレーだった。初戦でレベル差があるとはいえ自分のピッチングをしていて凄いと思った。俺が投げるとなったら初マウンドで絶対緊張して投げたいところにコントロールできないだろう。

 1回負けたら終わりのトーナメントだからこそどんなに点差があって勝っていたとしても最後まで気を抜かないようにしないとな。

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