22話 メンバー発表
期末試験最後の科目が終わった。今回もかなり自信がある。落とした教科は多分ないはずだから選手権大会に集中できる。
「練習いこうぜ」
「おっけー。今日ついにメンバー発表だな。自信あるか?」
「毎年3人くらいは選ばれてるし、俺はかなり自信あるぞ」
「龍樹は練習試合の成績凄かったし当確だろ。士郎と弥一はどう?」
「同じポジションの先輩たちの方が上手いから、俺は選ばれないと思う」
「同じく。俺もまだまだ高校野球で活躍できるほどの実力が足りてないかな」
「今年は無理でも秋季大会で入れるように地道に頑張っていくよ」
俺もドキドキしながら練習に臨む。メンバー発表があるから全体的にいつもとは違うピリピリとした雰囲気で練習は進んでいった。そして練習が終わりメンバー発表の時がきた。
「お疲れさま。これからメンバー発表になるのだが、メンバーは俺とコーチでしっかりと話し合って決めた。3年生で選ばれなかった選手はここで引退になるとは思う。選んでやれなくて申し訳ないし、本当なら全員を選んでやりたいくらいだ。それでもチームが勝つために選ばないといけない。選ばれなかったメンバーは、大会が終わるまでサポートに回って欲しい。よろしく頼む」
メンバー発表が終わった。1年生は5人が背番号を貰った。
俺の背番号は20。監督から番号を受け取った時に走塁に期待していると言われたので代走の準備をしっかりやらないとな。
他には予想通りではあるが、龍樹、佐久間兄弟、幸洋が選ばれた。
俺たち5人がメンバーに入ったことで選ばれない上級生がいるので、チームの代表としての思いを背負ってなんとしても甲子園へ行きたい。
今日は練習がいつもより早く終わったのと、先輩のいる前では大喜びできる状況ではなかったので、メンバーに入った5人でファミレスへ行くことになった。
「乾杯!!」
「ベンチメンバーに入れて一先ず良かったよね」
「そうだな。入れなかった人の分まで頑張ろうぜ。そして俺たちが少しでも力になって甲子園優勝しよう」
「後悔しないように積極的にいこうなー」
「走一郎は走塁にめっちゃ期待されてたね。盗塁成功率100%はすごく信頼されてるよね。武器があるって良いよね」
「走一郎は会った時から足が速くて1回も勝ったことなかったな。これは野球に活かせると思ったんだ。佐久間たちは知ってるけど野球に引き込んだの俺なんだぜ」
「フルスピードで走るのが俺の人生だった。だからお前と俺は親友だった。お前も同じだったから」
「走一郎は確かにそうかもしれないが、俺は怪我しない程度には抑えてるから違うぞ。あとこの前映画を観たからって言葉を使い回すなよ。それを言うなら俺は……」
「打てば本塁打、投げては三振、立ち姿は怪物の如し、天才の掟、努力の心、それが天童流。こんな感じか?」
「龍樹もどっかから持ってきたネタだろ? 確かにそうなのかもしれないけどさ」
「そういうの俺たちも作ろうよ」
「帰ったら一緒に考えてみるか!」
佐久間兄弟も何か考えようとしているみたいだ。
「自分でいうと痛い子だからやめようなー」
幸洋の一言で皆恥ずかしくなったみたいだ。幸洋が1番大人だと思った。そんなこんなで楽しかった食事会も終わり5人は選手権大会に向けて気合を入れ直した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます