21話 抽選会
今日は期末試験2日目を迎えていた。ここまでの試験は佐久間兄弟のお陰でスラスラと解くことができている。試験期間中も練習があるので勉強が大丈夫か心配だったが、全然恐る必要はなかった。むしろ中学の試験の方が大変だったとさえ感じてしまう。これから3年間佐久間兄弟に教えてもらえるというだけで、試験もかなりリラックスして臨めるな。本当に感謝しかない。
そんなことよりも今日は選手権大会の抽選会があるため、そのことが気になって試験もソワソワしてしまった。
俺たちは第2シードが決まっている。そのため対戦相手が何処になるのか監督が会場へ行ってくれているので、今日の練習の時に伝えてくれるみたいだ。
「試験お疲れ様」
「お疲れ。手応えはどうだった?」
「佐久間兄弟のプリントのお陰でかなりできたよ」
「俺もできたぜ。勉強まで出来ちまったら弱点が無くなっちゃうな笑」
「龍樹は勉強もできたら完璧超人になってしまうね。それよりも試合の組み合わせ知りたいし、早く練習行こうよ」
「そうだな。俺も試験中ずっと気になってたから早く練習行きたいわ」
クラスメイト4人でお昼ご飯を食べて、すぐに練習へ向かう。
練習の準備を終わらせてグラウンドで整列した。
「練習を始める前に選手権大会の初戦の相手を発表する。初戦は美木高校だ。実力を出せれば十分ゴールドも狙える相手だと思う。初戦だからといって緊張して消極的にならず、初回から圧倒できるように体調管理やメンタルを整えていこう。5回勝てば甲子園だが何が起こるか分からないのが勝負の世界だ。3年生は負ければ引退になってしまう。全員が悔いの残らないようにワンプレーを大事にしていこうな。それと試験期間中だが皆出来栄えはどうだ? 補講になったら大会に来れなくなるからそこだけは頼むぞ」
初戦は美木高校に決まった。2回戦も順当にいけばコールドできるだろう。3年生が甲子園にいけるようにサポート頑張るぞ。ベンチメンバー発表も試験が終わった日にするみたいだ。ギリギリまで発表しないのは選手のモチベーションを維持することや同じメニューをやってきたという自信に繋がるからだそうだ。
ブランクのあった俺でもベンチ入りへのチャンスがあると信じて、普段の練習や練習試合へ取り組んでいる。
誰が選ばれるか分からないが最後までアピールを頑張ろう。
「実際、美木高校ってどうなんだ?」
「大体1回戦負けか2回戦負けだからそんなに警戒する必要はないと思うよ。2回戦の相手も大したことないけど3回戦の志戸高校は投打でバランス良くて注意が必要かな?」
「2回戦までは監督が言って通りコールド出来そうだよ。投手陣も無駄に消耗しないように早めにコールドを決めたいね」
龍樹と佐久間兄弟が話しているのを聞いていた。
志戸高校のエースは140km越えのストレートとチェンジアップのキレがかなり良いらしい。もしも対戦する機会があったら狙い球を絞って打席に立つぞ。
今日の打撃練習の時に龍樹のチェンジアップを多く投げてもらって、それなりにイメージ通りに転がすことができるようになった。
龍樹も今日はストレートとチェンジアップだけしか投げていない。3回戦対策をしてくれてありがたいと皆言っていたが、2球種だけしか投げずにスタンドまで運ばれないのはさすがである。
甲子園出場に向けて各自が着実に準備を進めてくれている。雰囲気も良いし、練習へのモチベーションも高い。今年は甲子園出場できそうだなと思いながら指導した。
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