ゲーミング童話集

月這山中

 

【青い鳥】


「青い鳥じゃない!」

「16777216色に輝くゲーミングバードだわ!」


 旅を終えて帰って来たチルチルとミチルは叫びました。

 鳥かごの中に入っていた鳥が16777216色に輝くゲーミングバードになっていたのです。


「青色に輝く時もあるから許容範囲内でしょう」


 ベルランゴ夫人は病気の娘にゲーミングバードを与えました。

 するとみるみる内に、娘の身体が16777216色に輝きはじめたではありませんか。


「16777216色に輝くゲーミング娘になったわ」


 翌日、ゲーミング娘がチルチルとミチルを訊ねてきました。


「どうしてくれる」


 病は治っていましたが完全にキレてました。当然です。


「病気が治ってよかった。おめでとう」

「そうね。おめでとう」


 チルチルとミチルはお祝いの言葉を言いました。


「ふざけんなよ」


 ゲーミング娘の怒りの破壊衝動によって鳥かごが破壊されました。

 ゲーミングバードは逃げてしまいました。


 めでたしめでたし




【赤ずきん】


「赤ずきんじゃないわ! 16777216色に輝くゲーミングずきんよ!」


 ゲーミングずきんちゃんのゲーミングずきんは暗い森の中を16777216色に照らします。

 そこへおおかみが通りかかりました。


「うおっまぶしい。なにしてるのこんなところで」

「おばあさんの家におみまいに」

「向こうに花畑があるよ。マジでまぶしい」

「ありがとう」


 ゲーミングずきんちゃんがお花を摘んでいる間に、狼はおばあさんの家を訪ねました。

 そしておばあさんを頭からぱくり。


「おばあさん、おみまいにきました」


 ゲーミングずきんちゃんが扉を開けると部屋の中はパーリナイ。ベッドに寝ているのはおばあさんに扮したおおかみです。


「おばあさんのおててはどうしてそんなにおおきいの?」

「それはねまぶしいおまえを抱きしめるためまぶしい」

「おばあさんのおみみはどうしてそんなにおおきいの?」

「まぶしいそれはまぶしいおまえのこえをまぶしい」

「おばあさんのおくちはどうしてそんなにおおきいの?」

「まぶしいわ! もういい食ってやる!」


 おおかみはゲーミングずきんちゃんを頭からぱくり。


「ふう、食った食った」


 おおかみは外へ出ました。お腹は16777216色に光り輝いています。


「なんだあの光は!」


 驚いた猟師は鉄砲でおおかみを撃ち殺しました。

 ゲーミングおおかみのゲーミングお腹をナイフで開くと、おばあさんとゲーミングずきんちゃんが出てきました。


「ああ、びっくりした」

「いつ見てもまぶしいねえ、うちの孫は」


 めでたしめでたし




【青ひげ】


 16777216色に輝くゲーミングひげは妻に鍵束を預けます。


「どこの部屋でも入っていいが、ただこの小さな鍵の部屋にだけは絶対に入るな」


 そう言って「用事がある」と出て行きました。


 しかし妻は好奇心に負けて小さな鍵の部屋に入ってしまいます。


 そこには……なんと超高性能のPCとキーボードとマウスとチェアが16777216色に光り輝いているではありませんか。


 そこは配信部屋だったのです。


「きゃあっ!」


 妻は驚いて鍵を落としてしまいました。ちょうどそこに置かれていたマルゲリータピザの上に着地し、鍵にはべったりトマトソースがついてしまいました。いくら擦っても取れません。


「困ったわ」


 その晩、帰って来たゲーミングひげは鍵束を受け取ります。


「入ったな」


 トマトソースがついた小さな鍵を見てゲーミングひげはそう言いました。


「どんな罰でも受けます」

「だったら来い……!」


 あの部屋でした。


「はいどーもー! 本日の配信はゲストが来ています!」

「こんばんは妻です」

「てか今日のスト6大会マジであつかったよね! あちぇーわ! ん? 妻さん美人だねって? 何言ってんだよ当然だっつーの」


 妻は再生数稼ぎに使われてしまいましたが、その後たぐいまれな格ゲーの才能を見せつけゲーミングひげと共にテッペンへと上り詰めました。


 めでたしめでたし

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

ゲーミング童話集 月這山中 @mooncreeper

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ