第33話 手を固く握る

 雪菜と雪乃が『雨』に訪れる数日前。


「改めて これからを話す」


 東バッドバッドが重々しい雰囲気の中口を開けた。


 畳の上に座っているのは、『ムサシ会』幹部数名及び雪菜、雪乃。


「『ムサシ会』はわしが死んだ時 それで終わりにする これは決定事項じゃ その後は…… 好きにして構わない 付き合わせてすまなかった……」


「ばっど……」


 幹部一名、膝の上に乗せた手を固く握り、畳の目を見つめそう溢す。彼の名はうみ


「居場所を用意してやれなくてすまない…… ああ もちろん『革命ムサシ会』の所へ行っても構わない」


「わかった 俺は革命に行く」


「俺も」


 一人の幹部を皮切りに、続々と革命に行くと言って、部屋を出ていった。


 残ったのは海と他二名の幹部、そして雪菜と雪乃。


「く 悔しいです…… アイツらも なんで……」


 海の握る手が更に固くなる。


「彼らを憎むな 彼らの選択もまた正しい 時代は変わったんじゃ」


「それでも…… 力不足で………… 申し訳ありません」


 海が勢いよく頭を下げた。


「海…… ご苦労 ヤナギとアヤメはいいのか?」


「俺は東バッドを見届けます その後はわかりません」


「そうか…… アヤメは?」


「俺もここに残って やる事無くなったら旅っすかね」


「それは良い」


 雪菜がスッと手を挙げた。


「お爺ちゃん 言いたいことがあります」


 静かに、落ち着いた声で。


「なんじゃ」


「私は『ムサシ会』を無くしたくない でもお爺ちゃんがもう無くすって決めたんなら……」


 雪菜が急に立ち上がり話を続けた。


「私が新しく『新生ムサシ会』をつくる! それでお父さんから武蔵トーキョーを奪い返すんだ!」


「雪菜やめなさい」


「なんで! なんでよ! お爺ちゃんは悔しくないの?! お父さんのせいで武蔵トーキョーはメチャクチャになってる! こんなの武蔵トーキョーじゃないよ!」


「わしの力不足じゃ」


「だから私が守るんだ! お爺ちゃんが教えてくれた! 武蔵のいいとこ全部無くなっちゃうんだ! そんなのヤダ! 絶対嫌!」


「……雪菜」


 


✴︎後書き

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