第32話 手中

 雪華が一応、インガの顔を確認した。インガの顔は無表情そのものだった。


 雪華がちらりとインガの顔を確認してすぐに、目を伏せた。


「雪華……?」


「はい」


「私達ね 『ムサシ会』を復活させたいの……」


「! ……」


 雪華が驚きのあまり、身体をビクつかせた。


「雪華 知ってるの……?」


 雪菜が不思議そうに答える。


「そりゃ…… ポスト日本崩壊の“武蔵トーキョー”を秩序圏In orderまで引き上げた…… 最近はあまりいい噂を聞きませんが……」


「ぽすと日本崩壊? いのーだー? よくわからないけど…… でね おじ…… 雪乃 言えないよね?」


「うん 約束だし……」


「?」


「言えないことがあるけどね……」


「祖父が東バッドバッド……」


「ぬぇ?! なんで って あ……」


「お姉ちゃん……!」


「ばっど……ですか?」


 雪華が聞いた。


「誰?」


 タイガも分からなかった。


「現『ムサシ会』会長だ」


「?! 雪菜と雪乃が『ムサシ会』会長のお孫さんってこと?」


「そう もうバレちゃったから全部話していいよね?」


 雪乃が静かに首を縦に振る。


「お爺ちゃんはもう『ムサシ会』を残すつもりはないの 時代の流れだとか言って……


 それでねお父さんが『革命ムサシ会』をつくって 武蔵トーキョーを自分のモノにしようとしてて……


 武蔵トーキョーは絶対に変わっちゃう


 お爺ちゃんが守ってきた武蔵トーキョーが無くなっちゃう」


(ここ最近の武蔵トーキョーの治安悪化はその為か……)


「だから 私……じゃなかった 俺達が『新生ムサシ会』をつくったの! お爺ちゃんのそして俺達の武蔵トーキョーを守る為に!」




✴︎後書き

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